板金塗装の値段相場はどれくらい？
DIYで直す方法や費用も解説

更新日：2023-06-22

「車の傷や凹みを直したい」「できれば安く済ませたいからDIYしようか検討している」と考えていませんか？

車の傷や凹みを修理する場合には、板金塗装を専門に行う業者に依頼するのが一般的ですが、その一方で近年のDIYブームもあってか修理を自ら行うことを希望する方も増えています。

この記事では、板金塗装の基本的な知識と値段相場、DIYで修理する方法、必要な道具などについて詳しく解説します。板金塗装についての知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

板金塗装とは？

板金と塗装のそれぞれの意味

板金塗装とは、凹みや傷などの損傷を受けた自動車のボディーパーツ（外装）を修復、再生する作業のことです。修復作業は「板金」と「塗装」の2つの工程に分かれており、板金は損傷して変形した箇所を修復する作業を、塗装は修復箇所を元通りの色に塗装する作業を指します。

板金（鈑金）は自動車の外装を修復する作業のことを指すのが一般的であり、基本的にはハンマーで叩いて変形した箇所を元の状態に戻す「ハンマリング」と呼ばれる作業が行われます。ハンマリング以外にもスタッド溶接機や半田を用いる方法もあり、板金の方法は多種多様です。

一方、塗装は板金によって修復された外装表面の色や状態をきれいにする作業のことを指します。板金作業によって修復された外装の表面に、塗装材を吹き付けるなどして塗装を行うのが一般的です。
塗装というと外装表面の色を整える作業のイメージがありますが、実は塗装の役割はこれだけではありません。風雨や衝突などによって受ける損傷、劣化から外装表面を防護する役割も担っています。

板金と塗装はそれぞれを専門とする職人が行いますが、板金塗装の言葉が示す通り両者は一連の作業です。自動車が損傷を受けた場合には板金、塗装の両方を行う必要があり、どちらか一つのみを依頼することは原則できません。

損傷の程度が軽度である場合にはディーラーやクイック補修などで対処できますが、損傷が激しい場合には専門の板金塗装工場で修復作業を行うのが一般的です。

板金と塗装の流れ

「板金」と「塗装」の2つの工程で自動車の外装修復を行う板金塗装ですが、具体的にはその作業はどのような流れで進められるのでしょうか。
以下で板金塗装の作業工程を順を追って紹介します。

【板金の流れ一例】

【塗装の流れ一例】

板金塗装は上記の通り、細かな工程を経て自動車の修復、再生を行うものですが、損傷の程度によって作業内容や料金は異なります。

板金塗装の値段相場はどれくらい？

板金塗装を業者に依頼した場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか。
本項では、塗装の種類別に板金塗装の料金相場を紹介していきます。
なお、板金塗装の費用は損傷の程度や損傷部位、車のカラー、車両モデルなどによって異なるため、ここで紹介するものはあくまでも参考程度である点ご了承ください。

【軽度な傷、凹みの場合（大きさ10×20cmくらい）】
※車体カラー：白、国産車と仮定

引用：カーコンビニ倶楽部

【塗装の種類：ソリッド】

ソリッド塗装：単色による塗装。最近はソリッド塗装にクリアー塗装を施された2コートのソリッドが主流となりつつある。
以下は2コートの料金目安。

【塗装の種類：メタリック】

メタリック塗装：ソリッドカラーにメタリック（アルミなどの金属片）を混ぜ合わせた塗装。クリアー塗装が必須。

【塗装の種類：パール】

パール塗装：ソリッドカラーにパールを混ぜ合わせた塗装。クリアー塗装が必須。

引用：カーコンビニ倶楽部

上記を見て、「板金塗装って結構高いんだ‥」と思われた方もいるでしょう。
次項ではなぜ板金塗装が高いのか、その理由に迫っていきます。

板金塗装はなぜ高い？

板金塗装の料金が高い主な理由としては、以下が挙げられます。

• 作業工程が多種多様
• 専用塗料が高い
• 交換が必要な場合部品代がかかる

板金塗装作業には、フォーマットやマニュアルのようなものがありません。
車種や損傷度合いなどは千差万別であり、どのような作業を行うかは対応する職人に委ねられています。軽微な修復のみの場合には安価に済むことが多いですが、損傷が激しい、損傷箇所が大きい場合などは複雑な作業が求められるため料金が高くなる傾向にあります。

また、板金塗装で使用する専用塗料には、自動車メーカーの純正塗料はありません。
そのため、塗料は原則一台一台オーダーメイドで色を作る必要があります。専用塗料には大手の塗料メーカーが販売しているものを使用しますが、これが非常に高価です。
さらに、調色作業には高度な技術が求められるため、この点も板金塗装の料金が高い要因の1 つといえます。

損傷が著しく部品交換が必要な場合には、料金はさらに跳ね上がります。パーツごとの交換費用の目安は以下の通りです。

【部品交換費用の目安】

損傷が激しく部品交換が必要となった場合、上記の通り高額な費用がかかります。
あまりお金をかけたくないという方は、損傷を受けた状況が加入している自動車保険の車両保険の補償範囲に該当するかどうか確かめてみるのもよいでしょう。

車両保険は、事故や自然災害などによって所有車が損傷を受けた場合に修理代金などが支払われる保険制度です。適用条件に該当すれば保険金を受け取ることができますが、翌年度以降の保険料が割り増しとなります。

軽度の損傷で修復に要する費用が少額である場合には、車両保険を利用したほうがかえって支出が増えてしまう可能性があります。車両保険を利用する際には修理代金とその後の保険料を比較して、どちらが割安なのか見極める必要があるでしょう。

板金塗装をDIYでする方法

非常に小さな傷や凹み程度であれば、初心者でも自分で修復することが可能です。DIYで外装の修理をしたいと希望する人は非常に多く、自動車用品店では数々の補修アイテムが販売されています。

本項では、軽度な損傷をDIYで修復する方法と必要な道具について詳しく解説します。

キズを直す場合

ごくごく浅く小さな傷を直す場合、まずは以下の道具を揃えましょう。

• コンパウンド（研磨剤）
• スポンジ
• タオル
• マスキングテープ

修復作業は、以下の順で行います。

【浅い傷の修復作業の流れ】

1. 傷がある箇所を水で洗う
2. 粗めのコンパウンドで傷を磨く
3. より粒子が細かいコンパウンドで磨いて仕上げる

傷がある箇所を水で洗い、表面に付着した汚れやホコリを取り除きます。
次に、スポンジに粒子が粗いコンパウンドを付けてやさしく傷の部分を磨き上げます。傷に沿ってまっすぐに磨くことを心がけましょう。コンパウンドは傷を削り取るものであって埋めるものではないため、力を入れるとボディの変色を招いてしまうことがあります。「やさしく」磨くことを徹底することが大切です。

傷が目立たなくなってきたら、より粒子が細かいコンパウンドで磨いて仕上げていきます。スポンジは2で使用したものではなく、別のものを用意しましょう。艶が出て傷が目につかなくなったら修理作業は完了です。

小さなへこみを直す場合

凹みも傷同様、DIYで修復できる範囲はごく軽微なものに限ります。

DIYで修理できる凹みの目安としては、以下が挙げられます。

• 外径10cm未満
• 深さ5mm未満
• 塗装が割れていない
• へこみがなめらか（とがっていない）

外装のへこみをDIYで修復する場合、金属を「熱」で変形させて表面もしくは裏面から「衝撃」を加えることでへこみを元通りに成型するのが最も簡易で効率的な方法です。

熱を与える道具、衝撃を与える道具は、以下の中から選ぶことをおすすめします。

【熱を与えるのに効果的な道具】

• 熱湯
• ドライヤー

【衝撃を与えるのに効果的な道具】

• 車の凹み直し用吸盤
• グルー（接着剤）
• ハンマー

へこみを直す作業としては、熱湯やドライヤーを使って凹みの部分に熱を加え、裏側から手やハンマーなどで押し出したり叩いたりして成型する方法が一般的です。
裏側から押し出すことが難しい場合には、表面にへこみ直し専用の吸盤を貼り付けて引っ張って修復する方法を取るのもよいでしょう。
板金塗装工場でも実際に行われている方法であるため、作業がうまく行けばきれいに仕上げることができます。

また吸盤同様に、外装表面にグルーでピンを接着して引っ張り、グルーが外れる衝撃で凹みを元通りに成型する「デントリペア」という方法もおすすめです。
デントリペアについては必要な道具がセットになったものが非常に安価な料金で販売されているため、常備しておくといざというときに役立つでしょう。

またパテ（充填剤）を使用してへこみの部分を埋めるのも1つの方法です。パテを用いたへこみの修復作業の流れとそのほかに必要な道具は以下の通りです。

【パテによるへこみの修復作業に必要な道具】

• マスキングテープ
• 粗め、細めの耐水ペーパー
• シリコンオフスプレー

【パテによるへこみの修復作業の流れ】

1. 修復箇所をマスキングテープでマーキングする
2. 粗めの耐水ペーパーで研磨する
3. シリコンオフスプレーで表面の油分を取り除く
4. パテを塗布する
5. パテが完全に乾くまで待つ（約60分程度
6. 細めの耐水ペーパーで磨き上げる

パテは均一に塗る必要があり、相当なコツが必要です。また塗布する場所の素材に適したものを選ばなければいけないため、へこみや傷の範囲が広い場合にはDIYは諦めて業者に依頼したほうがよいでしょう。

次項では、塗装作業について解説します。

塗装をする

車の塗装は傷やへこみの修復に比べると簡単に思えてしまいますが、実は非常に難易度が高い作業です。
まず、塗装に使用する道具には主に以下の2種類が挙げられます。

• スプレー缶
• スプレーガン

スプレー缶は安価に購入できるうえそれ単体で塗装が完了する点が利点ですが、塗料の噴射範囲が一定ではなく非常にムラになりやすい点が難点です。

スプレーガンはスプレー缶に比べると霧の質がよく塗装の難易度は下がりますが、塗装にあたって必要となる道具（コンプレッサーやエアトランスフォーマーなど）が多くコストは大きくなります。

DIYの場合はスプレー缶による塗装が一般的であるため、ここではスプレー缶塗装に必要な道具と作業の流れを紹介していきます。

スプレー缶による塗装に必要な道具は以下の通りです。

• 耐水ペーパー
• シリコンオフスプレー
• マスキングテープ
• プライマー・サフェイサー（カラーペイント剤と下地との密着性、ペイントの発色性を高める塗料）
• クリア（艶や光沢を出す透明の塗料）
• ぼかし剤（塗装の境界のざらつきをなくして色をなじませる有機溶剤）

次に、スプレー缶による塗装作業の流れを紹介します。

1. 塗装を施す箇所にマスキングテープを張る
2. 塗装面を耐水ペーパーでやさしく研磨する
3. シリコンオフスプレーで表面の油分を取り除く
4. プライマー・サフェーサーを下地が見えなくなるまで複数回塗布する
5. スプレー缶を薄く塗布する
6. ペイント剤を乾かす
7. 5、6を複数回繰り返す
8. クリア剤を薄く4～5回塗布する
9. 15分程度乾かす
10. ぼかし材を迅速に塗布する

板金塗装はDIYでも可能ですが、きれいに仕上げるためには専門の道具と知識、技術が必要であり、初心者には難しいのが実情です。

次項では、板金塗装の難易度が高い理由について解説します。

板金塗装は難易度が高い

近年板金塗装を自分で行いたいという方が増えており、それにともなって市場にはさまざまな専用の道具が出回っています。
しかし、実際には板金塗装は車の修復の中でも非常に複雑な作業が多く、熟練の技術を持つ専門の職人でなければ対処できないケースがほとんどです。本項では、DIYで板金塗装を行う難しさについて解説します。

仕上がりがきれいにならない

塗装作業は密閉された清潔な環境下で行わなければ、きれいな仕上がりにはなりません。環境が整っていない場合、下地処理の際に空気中のホコリや作業の過程で生じた塵などの異物が塗装面に付着してしまう恐れがあります。

また塗装に用いるスプレー缶やスプレーガンは、扱いづらく失敗リスクが非常に高い道具です。中でもスプレー缶は手軽に手に入れることができる反面、噴射量や範囲の調整がしづらく、初心者がこれを使いこなすことは極めて難しいといえます。

一方のスプレーガンはスプレー缶に比べると扱いやすいですが、作業を行うにあたって揃えなければいけない道具がいくつかあり、場合によっては業者に依頼するよりもコストが高くついてしまう可能性があります。

DIYによって塗装面にムラができたり、異物が付着してザラザラとした仕上がりになったりしてしまった場合、修復するには再度下地処理からやり直さなければいけません。

それまでにかけた費用や時間、労力を無駄にしてしまうリスクがあることを考慮したうえで、DIYと業者どちらが効率的でコスパがよいのか前もって検討することをおすすめします。

やり方を間違えると状況が悪化する可能性がある

板金塗装は、損傷の程度や場所、車種、車体カラーなどによって、道具や作業の内容、工程を適切に選択しなければいけません。
環境や設備、道具、技術が十分でなかったがゆえに修復作業に失敗してしまった場合には再度下地処理からやり直さなければならず、再施工に費用や時間、労力がかかることは前述の通りです。

ただ、DIYで失敗した場合に追うリスクは、実はこれだけではありません。
きれいに修復されていない車は、売却時に査定額が減額される可能性があります。

これは、販売するためには買取業者のほうで再度修復しなければいけないためです。
自身で傷や凹みを修復したうえで持ち込んだからといって、査定額が増額になるということはありません。業者に依頼した場合でも、修理にかかった費用のほうが査定の増額分を上回ることも容易にあり得ます。
売却を検討している場合は、DIYを試みることはもちろん業者に修理を依頼することも避けたほうがよいでしょう。

板金塗装はどこに依頼できる？

板金塗装はどの業者に依頼すればよいのでしょうか。本項では、板金塗装を専門に請け負っている業者の特徴について解説します。

板金塗装を受け取っている業者は、「ディ―ラー」「自動車修理工場」「カー用品店」「ガソリンスタンド」の4社です。まずは、4社の特徴、違いを簡単に見ていきます。

【板金塗装業者の比較】

4社の中で最も料金が高いのは、ディーラーに修理を依頼した場合です。
ディーラーではメーカーの自社設備で修理を行うところと、下請けの専門業者に委託しているところがあります。

外注先となる専門業者は、ディーラーが定める厳格な基準をクリアした確かな技術力を持つ業者です。また塗料やパーツなどは純正部品を使用することが多いため、高い水準の仕上がりが期待できます。ただ一方でほかの業者と比べると中間手数料や部品代などがかかるため、料金は割高になる傾向があります。

自動車修理工場は、板金塗装を含めた自動車修理の専門業者です。直接依頼するため中間手数料などの費用がかからず、ディ―ラーに比べると料金を安く抑えることができます。
自動車修理工場には地域密着型の小規模な工場と、全国に支店を展開する大規模工場の2つがあります。自動車修理工場はそれぞれの技術力に幅があり、どの業者を選ぶかによって仕上がりの水準は大きく変わってくるでしょう。一定の水準を求めるのであれば、いくつかの工場に見積もりを取ったりインターネットで口コミを調べたりして慎重に依頼先を選定する必要があります。

カー用品店の板金塗装は自動車修理工場同様、ディーラーよりもリーズナブルな料金で修理作業を請け負ってくれるのが利点です。また見積もり、修理にかかる所要時間を最小限に抑える取り組みを実施しているところが多く、割安な料金でスピーディに施工してくれるのが魅力といえます。しかし、損傷の程度や車体の大きさなどによっては対応を断られる場合があるため、事前に確認するようにしましょう。

ガソリンスタンドもカー用品店と同様に、リーズナブルかつスピーディに修理を行ってくれます。全国展開する大手が多く、日常に密着した身近な存在であるため、給油のついでに気軽に相談、依頼ができる点は大きな利点といえるでしょう。ただガソリンスタンドは修理を専門に行っているところではないため、対応できる範囲が限られることがほとんどです。軽微な傷や凹みのみ請け負っているところが多く、損傷が激しい場合は提携工場を紹介してくれる場合もあります。

傷やへこみを修理するなら楽天Carキズ修理

この記事では、板金塗装について解説しました。
車の修理が必要になった場合は、本記事を参考に、修理の目的に合った以下業者を選んで依頼してみてください。

• ディーラー
• カー用品店
• ガソリンスタンド
• 修理工場

実際に業者を選ぶ際には、修理業者の比較サイトを使うという方法も便利です。

『楽天Carキズ修理』は、簡単な車の傷やへこみを修理してくれる業者を比較・予約できるポータルサイトです。お近くの修理業者を一括で探せるうえに、修理箇所の写真を送信するだけで見積もりも送ってもらえるので、家から出ずに見積もり業者を決められます。
楽天ポイントも貯まるので、修理で貯まったポイントで他の買い物ができるのもうれしい点です。
車の傷やへこみを直したい方は、『楽天Carキズ修理』でお近くの業者を比べてみてくださいね。