アルミボディの板金はどこでできる?
一般的な素材の車との違いについても解説

アルミボディの車は、トヨタ・日産・スバルなど限られた一部のメーカーでしか採用されておらず、修理に関する情報がまだまだ少ないのが現状です。「修理に出したいけど、どこに依頼すればいいのかよく分からない」「修理費用の相場が分からず不安」と感じる人も多いのではないでしょうか。

アルミボディは、一般的な車に使用されている鋼板と比較して修理が難しいため、板金を依頼できる修理業者は限られています。したがって修理費用も高額になりがちなので、自分にとって納得のいく修理にするためにも、アルミボディの板金についてしっかり知識を持っておくことが大切です。

本記事では、アルミと鋼板でできた車それぞれの違いや、アルミボディの板金を受け付けている修理業者などについて詳しく解説します。修理費用の目安や修理工程などの知識を深めたい人は、ぜひ参考にしてください。

アルミボディの車とは?鋼板素材との違いは?

車のボディに使われているのは、鋼板と呼ばれる鉄に強度を加えた素材が一般的です。ただ昨今は、ボディにアルミが採用されることも徐々に増えてきました。

まずは、アルミボディの特徴や、鋼板素材との違いについて詳しく解説していきます。

アルミボディの特徴

まずは、アルミボディの特徴について見ていきましょう。

アルミボディの特徴
  • 車体を軽量化できる
  • 燃費が向上する
  • サビにくく、車体が長持ちする

アルミは、ボディに使われる金属の中でもとくに軽量な素材です。加えて、アルミはやわらかい素材なので、車を成型する際にも細かい部分まで成型しやすく、溶接の工程を大幅にカットできます。溶接を行う場合、溶接用に余分な重ねしろが必要になりますが、アルミの場合はやわらかさを活かすことで溶接を行わなくても成型ができるため、余計な重ねしろをカットでき、さらに軽量化することが可能です。

また、車体を軽量化させることで、燃費の向上にもつながります。車体の重量と燃費は比例しており、重量が重くなればなるほど燃費は悪くなります。アルミボディの車であれば、日々の燃料コストをグッと抑えられるでしょう。

そして、アルミは耐腐食性にも優れており、サビに強い素材です。サビによる影響を受けにくいため、車の耐久性を損なうことなく長く乗り続けられます。ただし、完全にサビないという訳ではありませんし、海の近くのように空気中に塩分を含んだ環境ではサビが発生しやすくなるので注意しましょう。

鋼板素材との違いを比較

次に、一般的に車の素材として使われている鋼板とアルミのメリット・デメリットを比較してみましょう。

メリット デメリット
アルミ
  • 軽い
  • サビに強い
  • 生産工ストがかかる
  • 強度は劣る
  • 修理費用が高額
鋼板
  • 重い
  • サビに弱い
  • アルミと比較して生産コストは低い
  • 強度がある
  • 修理費用は平均的

アルミの重量は鋼板の3分の1ほどととても軽いのが特徴です。ただし鋼板ほどの強度がないため、車のボディとして使えるレベルの強度にするためには大量のアルミを使用しなくてはいけません。鋼板と比較して生産コストがかかるため、アルミ製の車は市場に出回りにくく、おもにスポーツカーやレース用のバイクなどに使われる場合がほとんどです。

また、アルミ製の車が市場にあまり出回らないことから、修理できる技術者も少ないのが現状です。技術者が少ないことで、修理は一部の専門の業者でのみ行われるため、修理費用は高額になります。

ただ、昨今普及が進められているハイブリッド車やEV車のように、車体の重量が重い車には積極的にアルミボディを採用する動きが強まっています。今後は市場に多く出回ることが予想されるため、アルミボディを修理できる専門の業者も、今後の普及と連動して増えていくのではないでしょうか。

アルミが採用されている車

アルミのボディとひと口に言っても、ボディの一部に採用されていたり、車体全体に採用していたりと各メーカーによってさまざまです。具体的に、アルミを採用している車を見ていきましょう。

【 アルミが採用されている国産車の一例】

メーカー 車種 使用箇所
トヨタ クラウン フード、Frフェンダ
ミライ フード
プリウス フード、バックドア
ランドクルーザー フード、Frフェンダ、バックドア、ルーフ
日産 シーマ フード、ドア
スカイライン フード
スバル レガシイ フード
インプレッサS フード
マツダ ロードスター フード、Frフェンダ、トランク

参考:日本アルミニウム協会

【 アルミが採用されている外車の一例】

メーカー 車種 使用箇所
JEEP COMPASS フード
WRANGLER オールアルミ
テスラ モデルS オールアルミ
モデルX オールアルミ
アウディ R8 オールアルミ
A8 オールアルミ
Q8 フェンダ、ドア、サイドパネル
メルセデスベンツ Sクラス フード、ドア、フェンダ他
Eクラス フード、ドア、フェンダ
SLクラス オールアルミ

参考:日本アルミニウム協会(北米)/(欧州)

国産車に関しては、フード・ドアといったボディの一部にのみアルミが使われているのが主流です。反対に外車では、走行性能や燃費性能を重視する上位クラスの車になるほどオールアルミの車が採用される傾向にあります。

アルミボディの板金を断られることがあるのはなぜ?

アルミのボディにへこみがついた場合、へこみを元に戻す板金修理が必要になります。ただし、アルミは鋼版と性質が異なる金属なので、同じように板金修理してもらうことは難しくなります。

鋼板の板金作業は、傷やへこみの入った箇所の裏からハンマーやヒートガンでへこみを押し出し、再塗装をほどこすのが一般的です。

対してアルミは鋼板よりもやわらかい素材なので、へこみを押し出そうとするとヒビ割れや亀裂が入る可能性が高く、通常の板金作業では綺麗に修理することはほぼ不可能です。

また、へこみの裏側に手が届かない場合は、表面に器具を溶接して引っ張り出す技法が取られますが、アルミの場合は溶接を行うと溶けて穴が開きやすくなり、作業しづらくなるのも理由の1つです。

このような理由から、アルミボディの場合は小さなへこみであっても、板金修理を行うことは難しく、ほとんどの場合は新しいパーツへ交換となります。新しいパーツの購入・取り寄せの費用がかさむため、板金修理を行うより高額になりがちです。費用を少しでも抑えたいと考えているなら、数は少ないですがアルミボディの板金に対応している修理業者を選ぶのが得策です。

アルミボディの板金修理の流れ

アルミボディはどういった板金修理が必要なのか、詳しく見ていきましょう。アルミのボディにへこみがついたと仮定し、板金作業の工程を順に解説していきます。

【板金修理の流れ】

  1. へこみのついた部分の塗装を剥がす
  2. 専用の溶接機で、へこみを引っ張り出すためのビットを溶接する
  3. ガスバーナーでへこみ部分をあたためてやわらかくする
  4. ビットと引き出しツールをつなげ、少しずつへこみを引っ張り出す
  5. 3.4を繰り返す
  6. ビットを切断する
  7. わずかにのこったへこみはパテで整える
  8. 下地処理→再塗装をほどこして完成

アルミは熱を加えすぎると溶けてしまうため、少しずつ熱を加えてやわらかい状態を保ちながら作業しなくてはいけません。細かい微調整が必要なので、一般的な板金作業よりも時間がかかることを覚えておきましょう

アルミボディの修理費用の目安は?

アルミボディにへこみがついた場合、「板金修理に出したいけど費用の相場が分からない」と感じる人も多いのではないでしょうか。納得感をもって修理を依頼するためにも、おおよその修理費用相場について押さえておきましょう。

アルミボディに5cm×5cm程度のへこみがついたと仮定した場合、修理・交換にかかる費用相場は下記の通りです。

修理 30~80万
交換 100万~

アルミボディは修理できる工場が限られるため、鋼板の板金修理と比較して修理費用は高額になる場合がほとんどです。加えて、アルミボディの修理は1つ1つの工程に時間がかかるため、そのぶん工賃がかさみ、修理費用に上乗せされます。

また、パーツの交換となった場合、メーカーからパーツを取り寄せる必要があるため、交換費用にプラスしてパーツ代・輸送費などがプラスされます。輸入車の場合は、海外からパーツを取り寄せるため、運送費だけでもかなり高額になる場合が多いのが現状です。

このようにアルミボディの修理費用は比較的高額になる場合が多いため、板金修理に出す際は、複数の修理業者に見積もりを出し、しっかり費用と内容を見て比較検討するようにしましょう。

板金修理を予約をするなら楽天Carキズ修理が便利!

アルミボディの車は軽量で燃費性能に優れているのが特徴です。国産車ではまだまだ普及が進んでいませんが、外車ではアルミボディを採用した車が徐々に増えてきました。

メリットの多いアルミボディですが、板金が難しく、修理を受け付けている修理業者が限られているのが難点です。アルミボディの車を修理に出したいと考えているなら、輸入車の修理を専門に受け付けている修理業者から選ぶのが得策と言えます。アルミボディの修理実績があり、経験や知識豊富な職人が修理にあたってくれるでしょう。

また、近くに輸入車を受け入れている修理業者がないという人も多いでしょう。そのような場合は、スマホだけで一括検索できる、修理業者の比較サイトを使うという方法も便利です。

『楽天Carキズ修理』は、アルミボディの車の傷やへこみを修理してくれる業者を比較・予約できるポータルサイトです。お近くの修理業者を一括で探せるうえに、修理箇所の写真を送信するだけで見積もりの概算を送ってもらえる『画像診断機能』もあるので、家から出ずに修理業者を選定できます。

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参考サイト

三菱ケミカル株式会社|自動車の軽量化が求められる理由とは?カギを握る「素材開発」の最新動向(参照日:2022-12-22)

https://mcc-ams.com/article/01/

インターパシフィック |アルミパネルの板金(参照日:2022-12-22)

https://www.inter-p.jp/process/9949

小池テクノ|アルミニウムの錆、腐食の基礎知識 (参照日:2022-12-22)

https://koiketechno.co.jp/%e7%b4%a0%e6%9d%90/%e3%82%a2%e3%83%ab%e3%83%9f%e3%83%8b%e3%82%a6%e3%83%a0/%e3%82%a2%e3%83%ab%e3%83%9f%e3%83%8b%e3%82%a6%e3%83%a0%e3%81%ae%e9%8c%86%e3%80%81%e8%85%90%e9%a3%9f%e3%81%ae%e5%9f%ba%e7%a4%8e%e7%9f%a5%e8%ad%98

車選びドットコム|車重を10kg軽くするとどれほどの効果があるの?(参照日:2022-12-22)

https://car-me.jp/articles/14461

株式会社イワタ|アルミも錆びることがあります(参照日:2022-12-22)

https://www.iwata-frp.com/news/1718

中央自動車鈑金工業所|鈑金(参照日:2022-12-22)

https://www.sanyo-auto.co.jp/cj-bankin/fabrication.html

LEVEL4 Technical Factory|ホーム - 輸入車の 修理・車検・メンテナンス整備の専門修理工場 (参照日:2022-12-22)

https://level4-car.com/
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