2022-05-25
【車のキズ修理】コンパウンドとは?使い方や注意点などを解説
画像出典:photoAC
コンパウンドとは、車の傷を目立たなくする研磨剤です。正しく使えば自分で傷の修理が可能となりますが、誤った使い方をすると余計に傷がひどくなってしまいます。コンパウンドで傷が消える原理や注意点、正しい使い方を解説します。
普段車を使っているとなかなか避けられないのが、車体の傷です。「できることなら自分で直せないだろうか」と思いますよね。
自分で車の傷を修理する際に使うのが、車体の研磨剤である『コンパウンド』です。コンパウンドは正しく使えば自分で車の傷を修理できますが、使い方を間違えれば余計に傷がひどくなってしまうリスクもあります。
本記事では、コンパウンドで傷が消える原理や、使い方の注意点、正しい使い方を解説していきます。車の傷を直したい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
コンパウンドとは?なぜ傷が消えるの?
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コンパウンドとは、車の表面に付いた傷を消すための研磨剤を指します。コンパウンド(compound)は直訳すると「混合物」「合成物」という意味で、細かな研磨剤がペースト状もしくは液状に混ざり合っていると考えれば分かりやすいでしょう。
それでは一体なぜ、コンパウンドを使用すると車の傷が消えるのでしょうか?
実は、厳密にいうとコンパウンドを使っても車の傷が「消える」わけではありません。
コンパウンドは傷周りの表層を削ることで傷の凹凸をなだらかにし、傷を最大限目立たなくさせているだけなのです。
車の塗装は4層の重なりによって成り立っています。一番表面にあるのがボディを保護する『クリア層』、クリア層の下にあるのがボディカラーを決める『カラー層』、カラー層の下がサビ止めなどの役割を担う『下地層』、一番下が鉄板や樹脂からなる『ボディ』です。コンパウンドで消すことができるのは、車体そのものやカラーに影響のないクリア層の傷までとなります。
カラー層の傷も場合によってはコンパウンドで改善することは可能ですが、塗装やコンパウンドの扱いに慣れていなければ難しい作業です。下地層やボディにまで達している傷はコンパウンドでは消せないため、傷の深さの見極めが重要となってきます。
コンパウンドの選び方
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コンパウンドは車の一番表面の塗装であるクリア層を削って、傷を目立たなくする道具です。コンパウンドの選び方を間違えると車に必要以上に深い傷を付けてしまったり、逆に傷が増えたりするリスクもあります。コンパウンドは正しい知識を持って選びましょう。
コンパウンドの選び方としては、以下の3点に注目してみてください。
詳しく解説していきます。
目の粗さ
コンパウンドは、コンパウンドに含まれている研磨剤の粒子の大きさによって種類が分かれます。メーカーによって呼び名は異なりますが、粒子が粗いものから順に粗目・細目・極細といった名前や、粒子が細かいほど大きい番号が付けられていることが多いです。
コンパウンドの粒子が粗くなると、それだけ塗装を削る力も強くなります。大きな石で砂を掘ると大きな穴が掘れるように、目が粗いコンパウンドはそれだけ塗装表面を大きく削り上げます。比較的深い傷は目が粗いコンパウンドじゃなければ消えない場合が多いですが、場合によっては不要な傷を付けてしまうこともあるため、注意が必要です。
一方、粒子が細かい研磨剤の削る力はそこまで強くはないものの、少しずつ削っていけるので丁寧な作業が可能となります。
傷の程度によって、以下のように選ぶことも可能です。
- 比較的目立つ傷であれば目が粗いコンパウンド
- あまり目立たない傷であれば目が細かいコンパウンド
コンパウンドの扱いに慣れていない場合はまず目が細かいコンパウンドから試していくのがおすすめです。
ペースト状と液体状
引用:楽天市場
引用:楽天市場
コンパウンドにはペースト状と液体状のものがあります。両者の大きな違いは、主に伸びの良さです。
ペースト状のコンパウンドは液体状のコンパウンドに比べて粘度があるのが特徴で、チューブ状の容器に入っていることが多いです。
下に垂れにくいので、ボディの側面などに使いやすくなっています。ただし伸びがあまり良くないので、広い範囲の傷には対応しにくいという面があります。
一方、液体状のコンパウンドはペースト状に比べ伸びが良く、ボンネットやルーフなど、水平で広い部分の作業に向いています。ペースト状に比べてトロリとしており、ボトルに入っていることが多いです。
従来はペースト状の方が粒子が粗く、液体状は極細といった細かい粒子のコンパウンドが多いとされてきました。しかし最近では、液体状にも比較的粗いコンパウンドが販売され始めており、液体状が主流となってきています。
ただし、液体状はペースト状に比べて乾きやすいという面もあるため、特に日差しの強い夏場は日の当たらない場所で作業をするなど注意が必要です。
水性と油性
コンパウンドには水性か油性かという違いもあります。
水性のコンパウンドは、界面活性剤の働きによって研磨剤を水に溶かしているため、水特有の特徴が現れやすいです。例えば、水が蒸発するのと同様に、水性のコンパウンドも研磨していると蒸発するため、成分が粉になりやすいという面があります。
研磨できていない傷が油分で隠れないため正確な作業がしやすくなりますが、蒸発した水分を霧吹きなどで補給しなければならないため、少し面倒に感じられるかもしれません。
一方、油性のコンパウンドは、研磨剤を油分に溶かしています。コンパウンドが蒸発することがないので粉になりにくく、スムーズな作業がしやすいのが特徴です。
しかし、傷が油分によって隠れやすいという面もあり、水性に比べて正確な研磨が難しいともいえます。
水性は冬場に凍ってしまう恐れがある一方、油性は凍る心配もないので、一般的には油性の方が扱いやすいと考えられています。油性は傷が隠れやすいという面も考慮して、ご自身に合った方を選んでみましょう。
コンパウンドの使用方法
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コンパウンドを正しく使えば、お金をあまりかけずに自分で車の傷を消すことが可能です。しかし塗装を削るという性質上、使い方には十分注意を払わなければ、余計に傷が広がるということにもなりかねません。
こちらではコンパウンドの効果をしっかり感じていただくために、コンパウンドを使用する際の注意点や使い方をご紹介します。
コンパウンドする際の注意点
コンパウンドで塗装表面についた傷は、元に戻ることはありません。作業をしてから後悔することがないよう、コンパウンドの注意点を先に学んでおきましょう。
コンパウンドを使用する際の注意点は、次の4つです。
- コンパウンドに埃やゴミなどが混ざらないようにする
- すぐに乾かないように直射日光を避ける
- コンパウンドで余計な傷をつけないようにする
- 削ってしまったコーティングは塗り直す
コンパウンドは、種類に応じて目の粗さが揃った研磨剤を混ぜ合わせています。せっかく目的に合わせてコンパウンドの目の粗さを選んでも、作業中にコンパウンドに埃やゴミが混ざってしまうと余計な傷が付いてしまいます。
コンパウンドを使用する際は、必ず埃が舞わないような環境に車を移動させ、しっかり洗車をしてから作業を行うようにしましょう。
コンパウンドが乾いてしまうと傷になってしまう可能性もあるので、直射日光が当たらないような車庫などで作業するのがおすすめです。
また、コンパウンドで傷を消せるのは、基本的に塗装表面のクリア層までです。それ以上の傷はコンパウンドでは消すことが難しい上に、コンパウンドで削りすぎると余計な傷までできてしまいます。
クリア層は大体30〜80μm(1μm=0.001mm)で、目が粗いコンパウンドは50μmほどありますので、クリア層を削りすぎないよう慎重に作業が必要です。
詳しい方法は後述しますが、コンパウンドで改善できる傷なのかどうかを見極めた上で、適切な目の粗さのコンパウンドとスポンジで作業を行い、傷を深追いしない程度で作業を止めるということが大切になってきます。
最後に忘れてはならないのが、コーティング剤の塗布です。コンパウンドにはコーティング剤は含まれていないため、作業後は車の塗装が削れてむき出しの状態となってしまいます。
必ずコーティング剤を塗り、塗装を保護することを忘れないようにしましょう。
コンパウンドの使い方
コンパウンドを使用する際は上記で説明した注意点に気を付けながら、以下の手順で作業をしていきましょう。
- 道具を用意する
- ガレージなど直射日光や風が入らない場所に車を移動させる
- 洗車をする
- 作業箇所の周囲をマスキングテープで養生する
- 粒子が細かいコンパウンドから試していく
- コンパウンドを拭いて傷の程度を確かめる
- 傷が目立たなくなったら一番目の細かいコンパウンドで磨き上げる
- コーティング剤で保護する
作業をする前に、コンパウンドを使う際に必要な道具を揃えておきます。コンパウンドに必要な道具は、以下の通りです。
コンパウンドで必要な道具
- ウエス(布)
- コンパウンド用のスポンジ
- コンパウンド
- マスキングテープ
- コーティング剤
道具を用意したら、ガレージなど、直射日光や風が入らない場所へ車を移動させましょう。できればその中で洗車をするのがベストですが、難しい場合は外で洗車を済ませてから車を移動させてください。
車を移動させたら、作業箇所を決めていきましょう。作業箇所の周りをマスキングテープで養生すると、余計な傷がつく心配がありません。
準備を終えたら、いよいよ作業を始めていきます。コンパウンドで付けた傷は元には戻らないため、なるべく目の細かいコンパウンドから試していくのが良いでしょう。
コンパウンドを塗って専用のスポンジで磨いた後、ウエス(布)で拭き取って傷の状態を確かめましょう。まだ傷が残っているようであれば、一段階ずつ目の粗いコンパウンドを試してみてください。
傷が目立たなくなったら、再度一番目の細かいコンパウンドで表面を磨き上げ、凹凸を滑らかにします。最後にコーディング材で塗装を保護し、作業は完了です。
コンパウンドで直せる傷と直せない傷
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先述した通り、コンパウンドで目立たなくできるのは一番表層のクリア層にできた傷のみで、カラー層以下にできた傷はコンパウンドでは直すことができません。コンパウンドで直せる傷と直せない傷は、次の特徴によって見分けることが可能です。
コンパウンドで直せる傷 |
- 傷の周辺に水をかけると傷が消えて見える
- 爪で傷をなぞってもほとんどひっかからない
|
コンパウンドで直せない傷 |
- 車の塗装とは違う色に見えている傷
- 爪でなぞるとひっかかる傷
|
コンパウンドで直せるクリア層の傷は、30〜80μmという非常に薄い層の中にあるため、水をかけると消えて見えたり、爪でなぞってもほとんど引っかからなかったりする特徴があります。しかし、クリア層よりも深いカラー層にまで達していると、傷の色が車の塗装とは違う色に見えたり、傷が爪で引っかかったりします。
カラー層まで達しているような傷は、コンパウンドで直そうとすればするほど塗装を削ることになり、余計に悪化してしまいます。見た目が悪くなってしまうだけではなく、サビの原因にもなってしまうので、必ず専門業者へ修理を依頼するようにしましょう。
以下の記事でも解説していますが、傷やへこみなどの簡単な修理なら、お近くのガソリンスタンドなどでも対応可能です。
関連記事:車の修理どこへ行けばいいの?状況別におすすめの依頼先を紹介
車の傷を修理するなら楽天Carキズ修理
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コンパウンドは傷自体を消しているわけではなく、傷の凹凸を滑らかにしているだけなので、車の深い傷は直すことができません。
また、コンパウンドで削った塗装は元には戻りませんので、まずはしっかり傷の程度を見極めた上で、本記事で解説した手順で正しく作業を進めていきましょう。
「コンパウンドを使うのが怖い」「余計に傷を広げてしまうのではないか不安」という方は、修理業者に依頼するようにしましょう。わざわざ修理業者を回らなくても、スマホだけで完了する見積もりサービスを使えば業者選びも簡単です。
『楽天Carキズ修理』は、スマホで車の傷の画像を送るだけで、修理の見積もりを受け取れるサービス。お近くの修理業者の価格を一括で比較でき、その場で修理予約が完了します。
修理後は楽天ポイントも貯まり、お得に買い物も楽しめる一石二鳥のサービスです。
コンパウンドで傷を直せるか不安な方は、一度『楽天Carキズ修理』に相談してみてはいかがでしょうか?
参考サイト
コンパウンド選び間違ってませんか?熟練度と使用状況に合わせたコンパウンド選び方と使い方 | 日本ライティングBlog(参照日:2022-04-28)
https://zwebonlinestore.com/blog/coating/5991
コンパウンド研究(水性、油性コンパウンドメリット、デメリット) | ボディコーティング.自動車板金. 防錆処理. com(参照日:2022-04-28)
https://ameblo.jp/tateshin/entry-12045457064.html
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