2022-07-08
残価設定ローンとは?デメリットだらけ?メリットも合わせて解説
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「残価設定ローンはデメリットだらけ」という話を聞いたことはありませんか?残価設定ローンは一般的なカーローンとは仕組みが異なり、よくわからないまま契約すると後悔してしまうかもしれませんので、正しく理解していきましょう。
「残価設定ローンはデメリットばかりって本当?」と疑問に思っていませんか?車を購入する際、ローンを組むことを考える方は多いかと思いますが、残価設定ローンと一般的なカーローンは全くの別物です。注意しなければならない点も多いので、違いを理解しないまま契約してしまうと、将来的に後悔してしまうかもしれません。
そこで本記事では、残価設定ローンについて解説します。デメリットばかりだと言われている理由もご紹介しますので、まずこの記事を読んで契約すべきかどうか考えていきましょう。
残価設定ローンとは?
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残価設定ローンとは、契約時に残価を設定し、車両代金から残価を差し引いた分を返済していくというシステムのローンです。
まず、「残価」とは「残存価格」の略で、将来車を手放す時点で残るであろう車の価値のことを言います。そもそも、車は新車登録から時間が経つにつれて価値が下がっていくものです。同じ車種であっても、購入したばかりの新車と数年使用した車の価値は異なりますよね。
そこで、契約時に「〇年後(ローン終了時)の価格はこれくらいになるだろう」と、年数や予定される走行距離などをもとに残価を設定します。
そして、購入する車の車両代金からこの残価分を差し引いた金額を毎月返済していく、というのが残価設定ローンの仕組みです。
例えば、車両価格300万円の車を購入すると想定してみましょう。この車の残価が100万円になると決まった場合、100万円を差し引いた200万円を毎月少しずつ返済していくということになります。
残価の精算方法
「残価を差し引いた分を返済していく」ということを述べましたが、この残価はなかったことになるわけではありません。差し引いた残価は、ローンで返済しない代わりに、ローン終了時に精算することになります。精算方法の選択肢は次の3つです。
- 車を販売店に返却する
- 同じメーカーの車に乗り換える
- 残価を支払って車を買い取る
ローン終了時、残価を精算するために車の返却または乗り換えをするか、残価を支払って車を買い取る必要があります。先程の例のように残価100万円の場合、そのまま同じ車に乗り続けるためにはローン終了時に残りの100万円を支払わなくてはならないのです。
「残価を差し引いた分を返済していく」と聞くとお得に感じるかもしれませんが、残価は「支払わなくて良いお金」ではなく、「ローン終了時まで精算を保留しているお金」というイメージで理解しておきましょう。
残価設定ローンのメリット
「デメリットの方が多い」と言われることもある残価設定ローンですが、もちろんメリットもあります。まずはメリットから見ていきましょう。
- 毎月の返済額が少なくなる
車両代金の全額ではなく、車両代金から残価を差し引いた分を返済していくので、一般的なカーローンよりも毎月の返済額が抑えられます。
- 短期間で車の乗り換えができる
一般的なカーローンで返済期間を短くすると、毎月の返済額が非常に高額になることが多く、大きな負担となります。また、購入した車を売却して新車に乗り換えるには手間がかかるという点でも、短期間での乗り換えは非常に大変です。しかし、残価設定ローンは、返済の負担が少ない分返済期間を短くしやすく、ローン終了時に同じメーカーの車への乗り換えるのは手続きも楽なので、短いスパンで車の乗り換えがしやすいと言えます。
- 車の市場価格が下がることを心配しなくて良い
中古車市場における車の価値は、車の状態だけでなく市場の需要と供給のバランスなど、さまざまな要素が影響しています。車を売却したいと思ったときにその車の市場価値が下がっていた場合、満足するような買取価格が付かないことも珍しくありません。しかし、残価設定ローンは最初に将来の車の価値を決定するので、市場価格が下がることを心配する必要がなくなります。
残価設定ローンは普通のカーローンやリースと何が違う?
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残価設定ローンの仕組みについて説明しましたが、ここでは一般的なカーローンとの違いについてより詳しく確認していきましょう。
また、最近では毎月定額の料金で車に乗ることができる「カーリース」のサービスも増えています。カーリースでも契約時に残価設定を行うという点は似ていますが、異なるものです。
一般的なカーローンやカーリースとの違いを理解し、自分に合っているものを考えてみてください。
残価設定ローンと一般的なカーローンの違い
残価設定ローンは、車両代金から残価を除いた金額を返済していくということを解説しました。それに対し、一般的なカーローンでは、車両代金全て(頭金を支払う場合は頭金を差し引いた残りの金額)を毎月少しずつ返済していきます。
この点から、同じ金額の車を購入し、同じ返済期間で契約したと想定すると、残価設定ローンの方が月々の返済額が少なくなることが特徴です。
また、返済期間中の車の所有者にも違いがあります。
返済期間中の車の所有者
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車の所有者 |
残価設定ローン
|
販売店または信販会社 |
一般的なカーローン
|
銀行系カーローン
|
本人(契約者) |
ディーラーローン
|
販売店または信販会社 |
残価設定ローンの場合、車の所有者は本人(契約者)ではなく販売店または信販会社となります。一般的なカーローンでは、ディーラーローンなら残価設定ローンと同様に販売店または信販会社が車の所有者となりますが、銀行系カーローンは返済期間中でも本人が所有者です。
残価設定ローンとカーリースの違い
カーリースとは、毎月一定の利用料金を払って車を利用することができるサービスのことです。利用料金には車の車両代金だけでなく、自賠責保険料や税金なども含まれています。カーリースによっては、車検代や修理費用が含まれているプランが用意されていることもあり、月々の維持費を一定にできることがメリットです。
それに対し、残価設定ローンはあくまでも車両代金を支払うためのローンであり、自賠責保険料や税金の支払いは別途自分で行わなければなりません。
カーリースについては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。カーリースと車の購入にかかる費用の比較も行っていますので、ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:カーリースのデメリットは?車を購入した場合の費用と徹底比較
残価設定ローンはデメリットしかないと言われる6つの理由
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ここまで、メリットが多いように感じている人もいるかもしれませんが、「残価設定ローンにはデメリットしかない」と言う人は少なくないのが事実です。実際、デメリットとなり得る特徴も多く、正しく理解しないまま利用することはおすすめできません。
ここでは、残価設定ローンのデメリットを1つずつ解説しますので、契約前にはデメリットも考慮して検討するようにしてください。
1.ローン終了時に追加費用が必要になることもある
残価設定ローンでは、最初に残価が設定されるので、将来的な車の価値が保証されているように思えるかもしれません。しかし、この残価は「車がきれいな状態で保たれている」「契約時の条件の範囲内で使用している」ことを前提に設定されているものです。
もしも車に傷が付いてしまったり、走行距離の上限をオーバーして使用してしまったりすると、車の価値が下がったと見なされて追加費用が請求される可能性があります。
残価設定ローンの追加費用の目安
|
追加費用の目安 |
内装・外装の傷や汚れなど※
|
減点1点につき1,000円程度 |
走行距離の上限オーバー
|
走行距離1kmオーバーにつき5~10円程度 |
※一般財団法人日本自動車査定協会の定める基準に基づいてチェックが行われることが多い
例えば、縁石に引っ掛かるなどして塗装に付いた線傷(カードサイズ未満のものを除く)は20~30点の減点となり、追加費用にして20,000~30,000円かかる計算です。また、ペットを飼っているとペットの毛がシートに付着することも多いかと思いますが、ペットの毛の付着は減点40点で約40,000円となります。
走行距離も1kmで5~10円と聞くと安く感じるかもしれませんが、1ヵ月の上限が1,000kmの条件で5年の残価設定ローンを組んだと考えてみましょう。この条件において、毎月1,200km走行したと想定すると、5年で60,000~120,000円もの追加費用が発生することになります。
よくある内装・外装の傷や汚れでも減点の対象となることや、毎月わずかな走行距離オーバーでも数年で考えると長距離になってしまうことがあることを考えると、結局は十数万円から数十万円の追加費用が必要になることは珍しくありません。
2.走行距離の制限がある
残価設定ローンでは、契約時に走行距離の上限が決められます。一般的なカーローンで購入したマイカーであれば、走行距離を気にせずにいくらでも使用することができますが、残価設定ローンで購入した車は走行距離を常に気にしなければならない点がデメリットです。
もしも上限をオーバーしてしまうと、ローン終了時に追加費用がかかってしまうので、「休暇になると車で旅行をする」「他県への移動が多い」など、長距離移動が多い人は注意しなければなりません。
3.カスタマイズができない
車を使っていると、「カーナビを高性能なものに変更したい」「車高を下げたい」など、機能性を向上させたり、見た目の印象を変えたりする目的で、車のカスタマイズを考えることがあるでしょう。通常のマイカーであれば、自由に車のカスタマイズをすることができますが、残価設定ローンで購入した車は基本的にカスタマイズができません。
「返却時にもとに戻せるものはOK」など条件付きでカスタマイズできることもありますが、基本的には購入したときの状態で使い続けることになります。
4.銀行系カーローンよりも金利が高い
残価設定ローンにしても、その他のカーローンにしても、ローンを組むのであれば金利のことも考えなければなりません。通常、車は数百万円の買い物であるため、金利が1%違うだけでも最終的な支払い総額には数万円の違いが生まれます。
金利は利用するローンによって異なりますが、ここではローンの種類ごとに金利の目安を見ていきましょう。
カーローンの金利の目安
残価設定ローン |
3~5% |
銀行系カーローン |
1~2% |
ディーラーローン |
3~10% |
(2022年4月現在)
一般的に、残価設定ローンの金利はディーラーローンより安く、銀行系カーローンよりも高い傾向があります。銀行系カーローンは比較的審査が厳しいものの、金利の面では残価設定ローンよりも有利です。
カーローンの利用にあたっては審査のことを心配している人も多いかと思いますが、こちらの記事でカーローンの審査基準や審査に落ちてしまったときの対処法を解説していますので、審査に不安を感じている人はぜひ読んでみてくださいね。
関連記事:車のローンの審査基準は?ローンが通らない原因と落ちた時の3つの対処法
5.ローン終了時に車を返却するか買い取らなければならない
通常、残価設定ローンではない一般的なカーローンで購入した車は、返済期間が終われば後は自由に乗り続けることができます。
しかし、残価設定ローンは返済期間が終了した時点で残価の精算が必要になり、引き続きその車に乗り続けたいのであれば、残価を支払って買い取ることになります。この場合、一括で支払うか、一括で支払えないときは新たにローンを組むことになり、返済期間が終わってからの経済的な負担は大きいと言えるでしょう。
買い取りを希望しない場合、車を返却するか車を乗り換えることで残価の精算を行います。返却にしても乗り換えにしても、せっかくローンを終えたばかりの車を販売店に引き渡すことになるため、自己資産とはならないことに注意が必要です。
6.他のメーカーの車に乗り換えがしにくい
残価設定ローンの返済を終えていない状態で車を乗り換えることになった場合、基本的には同じメーカーの車の中から次の車を選ぶことになります。もしも違うメーカーの車に乗りたいのであれば、残りの金額を一括で支払って完済しなければなりません。
一般的なカーローンなら中途売却も自由なので、違うメーカーの車へ乗り換えるハードルは低くなりますが、一度残価設定ローンを利用したために、そのまま同じメーカーを利用し続けているという人も多いです。
特にメーカーや車種にこだわらないという人には問題ないかもしれませんが、こだわって車を選びたいという人は注意しましょう。
残価設定ローンが向いている人
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ここまで残価設定ローンについて解説しましたが、「結局のところ、残価設定ローンはおすすめなの?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。そこで、メリット・デメリットをおさらいし、残価設定ローンが向いている人の特徴を考えていきましょう。
残価設定ローンのメリット・デメリット
メリット |
- 月々の返済額が少なくなる
- 短期間で車の乗り換えができる
- 車の市場価格が下がることを心配しなくて良い
|
デメリット |
- ローン終了時に追加費用が必要になることもある
- 走行距離に制限がある
- カスタマイズができない
- 銀行系カーローンよりも金利が高い
- ローン終了時は車を返却するか買い取らなければならない
- 他のメーカーの車に乗り換えにくい
|
このメリット・デメリットから、残価設定ローンがおすすめなのは次のような条件に当てはまる人です。
- 毎月の返済額を抑えたい
- 短期間(3~5年程度)だけ車を使いたい
- 短期間(3~5年程度)で新車に乗り換えたい
- 毎回同じメーカーの車への乗り換えを希望している
- 車の使用頻度が少ない
- カスタマイズをする予定がない
反対に、これらの条件に当てはまらない場合、残価設定ローンでは不都合を感じる可能性があると言えます。例えば、違うメーカーの車に乗り換える可能性がある人や、車の使用頻度が高く走行距離が長くなる人、カスタマイズを楽しみたい人などは、残価設定ローンではなく一般的なカーローンの方が良いでしょう。
しかし、それでも残価設定ローンの「毎月の返済額が安くなる」という点に魅力を感じている人もいるのではないでしょうか。もし、月々の経済的な負担を抑えたいのであれば、中古車の購入を検討するという方法もあります。
中古車なら新車よりも車両価格が安いので、支払い総額を抑えることができ、月々の支払い額を減らすことが可能です。また、残価設定ローンを利用しなければ走行距離やカスタマイズの制限などもなく自由に車を使えるので、より快適なカーライフを送ることができます。
しかし、「状態の悪い中古車を買ってしまわないか心配…」「走行距離や年式など、どんなところを見て選べば良いの?」などと中古車の購入に不安がある人もいるのではないでしょうか?中古車の選び方はこちらの記事で詳しく解説しています。確認すべきポイントをしっかり押さえておけば、納得のいく中古車を見つけることができるので安心してくださいね。
関連記事:中古車の選び方|初めてでも失敗しない選び方のコツを解説
中古車を購入するなら楽天Carがおすすめ!
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この記事では、残価設定ローンの仕組みやデメリットしかないと言われる理由について解説しました。月々の返済額が少なくなるなどの利点もありますが、ローン終了時に多額の追加費用がかかる可能性があったり、走行距離の上限やカスタマイズの制限があったりするなど、通常のカーローンとは違うデメリットも多いのが事実です。
残価設定ローンを契約する際は、これらのデメリットを正しく理解した上で慎重に検討するようにしましょう。
しかし、デメリットを懸念しながらも「何とかして月々の返済額を安く抑えたい」と残価設定ローンを考える人もいるでしょう。月々の返済額を少なくしたいのであれば、残価設定ローンを利用するのではなく、中古車の購入を検討してみてはいかがでしょうか?
中古車なら、同じ車種を新車で購入するよりも車両価格が安くなるので、そもそも借入額が少なくなり、月々の返済額も抑えることができます。何となく中古車の購入に不安があるという人もいるかと思いますが、保証や鑑定書が付いている車を選ぶことで、安心して使用できる車を見つけることは十分可能です。
また、中古車ならさまざまな状態の車があるので、「1年しか乗らないから年式が古くても安い車が欲しい」「カラーにはこだわらないから人気の車種を安く買いたい」など、希望に合った1台が見つかるでしょう。
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参考サイト
残価設定ローンのメリット・デメリットは?向いている人の特徴や金利も解説(参照日:2022-04-06)
https://www.resonabank.co.jp/kojin/column/mycar/column_0006.html
残価設定ローン(クレジット)とは。リースとは違う?(参照日:2022-04-06)
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-residualvalue-loan-lease/
Ⅰ 加減点基準の組み立て - 日本自動車査定協会(参照日:2022-04-16)
http://www.jaai.or.jp/jaaiimage/pdf/sateikijun180320/handbook180320-04.pdf
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