2022-05-18
車の贈与税はどんな時に発生する?支払っていないとどうなるの?
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「親に車を買ってもらったら贈与税がかかるの?」とお考えの方はいませんか?車の贈与税が発生するケースや、贈与税を支払っていない場合のペナルティなどについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
「家族に車を買ってあげると贈与税がかかるって本当?」「親族が亡くなって車を譲りうける場合税金は発生するの?」車を送りたい人、譲り受ける予定がある人はこのような疑問が浮かぶ人は多いのではないでしょうか。贈与税というと現金の授受の場合に適用される税金というイメージがありますが、実は贈与税の対象となるのは現金のほか、車や家、土地などを含めた財産全般です。
ただ、どんな車でもあげる・もらう時は贈与税がかかるのかというと、一概にそういったわけではありません。贈与税は、贈与した時点での車の価値(車体価格)が一定の水準に達した場合に発生します。
今回は、車の贈与税が発生する条件のほか、贈与税を支払わないとばれるのか、贈与税が発生しないようにする方法などについて詳しく解説します。贈与税の基本知識を理解して、かかる税金を最小限に抑えましょう。
贈与税の発生要件
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贈与税は、個人から財産(車や家、土地、現金、生命保険金、債務の免除など)を譲り受けたときに発生する税金です。贈与税には暦年課税と相続時精算課税の2種類の課税制度があり、どちらかを個人が自由に選択できます。
暦年課税と相続時精算課税は贈与税が発生する要件が異なるため、両者の違いについて把握しておくことが大切です。
【暦年課税と相続時精算課税の違い】
|
暦年課税 |
相続時精算課税 |
贈与者の条件
(贈与した人、
財産をあげた人)
|
誰でも可 |
贈与した年の1月1日時点で60歳以上である父母または祖父母 |
受贈者
(贈与された人、財産をもらった人) |
誰でも可 |
贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の推定相続人(配偶者、子ども)および孫 |
非課税枠
(税金がかからない限度額) |
年間110万円
(贈与を受ける人ごと) |
相続が開始するまで原則2,500万円(贈与する人ごと) |
課税額の計算式
(非課税枠を超えた場合) |
(年間贈与額-110万円)×超過累進課税(10~55%) |
(贈与額-2,500万円)×一律20% |
申告
|
非課税枠(110万円)を超えたら |
金額に関わらず、贈与税申告書と相続時精算課税選択届出書を提出する必要がある |
贈与者が死亡した場合の相続税
|
原則相続財産には加算しないが、相続開始の3年前に受けた贈与財産については相続財産に加算する |
贈与された財産はすべて相続財産に加算 |
回数制限
|
なし |
なし |
参考:ランドマーク税理士法人 相続税申告相談プラザ
暦年贈与と相続時精算課税の違いを簡潔にまとめると、以下の通りとなります。
- 暦年贈与は1年間の贈与額が110万円を超えると贈与税がかかる
- 相続時資産課税制度は相続までの累計贈与額が2,500万円を超えると贈与税がかかる
車の場合、購入した新車をあげるなら購入金額=贈与額となりますが、新車でなく中古車をあげる場合は贈与額はいくらになるのでしょうか。
次項では、車の贈与で贈与税の対象となる事例について詳しく解説します。
贈与税の対象となる事例
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前項で紹介した通り、贈与税がかかるのは年間の贈与額(その年の1月1日〜12月31日までの期間にもらった財産の合計額)が110万円を超えた場合です。贈与税を支払う義務を負うのは、贈与を受けた人となります。
それでは車の場合、具体的にどのようなケースで贈与税が発生するのでしょうか。
本項では、贈与税の対象となる事例をいくつか紹介します。
110万円以上する車を購入してあげた場合
例えば、父が子どもに110万円以上する新車を購入してあげた場合には、贈与税が発生します。
ただ父が子どもに新車をプレゼントしただけなら、贈与とはみなされません。父からもらった新車を子どもが自分の名義にした時点で贈与とみなされます。
父に限らず、相手が家族や親戚、友人など誰であっても相手からもらった車を自分名義に変更した時点で贈与が成立します。
贈与税は、非課税枠(基礎控除額)である110万円を超えた分に課税されます。したがって父が子どもに購入した車が新車価格400万円の車だった場合、贈与税は400万円-110万円=290万円に対してかかります。(ただし、その年にほかにも父から贈与を受けた場合には、その金額を含めた合計贈与額に対して課税されます。)
新車の場合、贈与額は購入金額となるため税額の算出が簡単ですが、中古車をもらった場合にはどのように贈与額を割り出すのでしょうか。
次項では、中古車を譲り受けた場合に贈与税が発生するケースについて解説します。
査定額よりも安い金額で車を売った場合
「中古車を譲り受ける場合、贈与ではなく売買したものとしてお金を渡せば贈与税はかからないのでは?」と考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、中古車の査定額をあげた人、もらった人の間で売買した価格が下回る場合には、贈与税がかかる可能性があります。
例えば、中古車販売店で200万円の査定額が出た車を、両者間で10万円で売買した場合、200万円-10万=190万円の贈与を受けたとみなされます。
したがって、非課税枠110万円を超える分の80万円が課税対象となるのです。
贈与税を取られたくない場合には、売買金額を90万円にするのがよいでしょう。これにより、査定額から売買金額を引いた残額が非課税枠の110万円以内に収まります。
あげる人、もらう人の間で売買を行う場合には、しっかりと契約書を作成した上でお金のやり取りを記録として残しておくことが大切です。現金での手渡しではなく、銀行振り込みを利用するようにしましょう。
贈与税はいくらかかる?
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車をもらった際の贈与税は、一体いくらかかるのでしょうか。
前項でも解説した通り、贈与税の計算式は以下の通りです。
贈与税の計算式
贈与税=1年間に贈与された財産の価額-基礎控除額110万円×税率
贈与税の税率には一般贈与財産と特例贈与財産の2つがあり、どちらが適用されるかは贈与者によって決まります。
以下で、両者の税率を紹介します。
【一般贈与財産】
特例贈与財産の要件に該当しない場合の贈与税の計算に適用
※例:親から未成年の子に贈与する場合など
基礎控除後の課税額 |
税率 |
控除額 |
200万円以下
|
10% |
ー |
300万円以下
|
15% |
10万円 |
400万円以下
|
20% |
25万円 |
600万円以下
|
30% |
65万円 |
1,000万円以下
|
40% |
125万円 |
1,500万円以下
|
45% |
175万円 |
3,000万円以下
|
50% |
250万円 |
3,000万円超
|
55% |
400万円 |
【特例贈与財産】
祖父母や父母などの直径専属から贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の者(子や孫など)への贈与税の計算に適用
基礎控除後の課税額 |
税率 |
控除額 |
200万円以下
|
10% |
ー |
400万円以下
|
15% |
10万円 |
600万円以下
|
20% |
30万円 |
1,000万円以下
|
30% |
90万円 |
1,500万円以下
|
40% |
190万円 |
3,000万円以下
|
45% |
265万円 |
4,500万円以下
|
50% |
415万円 |
4,500万円超
|
55% |
640万円 |
引用:国税庁
一般贈与財産、特例贈与財産ともに税率は10〜55%ですが、上昇幅は一般贈与財産のほうが大きいものとなっています。例えば以下のように贈与財産額が同じであっても、一般贈与財産と特例贈与財産では贈与税額に違いが生じます。
例)贈与財産の価格が500万円の場合の贈与税額
- 一般贈与財産:500万円-110万円=390万円(課税額)×税率20%-控除額25万円=53万円
- 特例贈与財産:390万円(課税額)×15%-10万円=48万5千円
贈与税の計算は、贈与者(あげる人)と受贈者(もらう人)の条件がどちらの区分に該当するかを確認した上で行うようにしましょう。
贈与税の申告方法
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贈与税が発生する場合、財産をもらった人が申告と納税を行わなければいけません。贈与税の申告と納税は、贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日の間に行います。贈与税を申告するには、贈与税の申告書を作成する必要があります。
贈与税申告書の用紙の入手方法は、以下の通りです。
- 国税庁のホームページからダウンロードする
- 税務署の窓口でもらう
- 確定申告書等作成コーナーを利用する
1.2は贈与税申告書の用紙を入手したのち、手書きで住所や名前、贈与財産の種類、財産の取得年月日などの必要な情報を記入していくものです。
一方、3はインターネット上で贈与税の申告ができるシステムであり、別途手書きの申告書を用意する必要はありません。
必要な項目を埋めれば贈与税の計算を自動で行ってくれるため、便利な申告方法として定着しています。
確定申告書作成コーナーで作成した申告書は、以下の方法で税務署に提出します。
- 国税電子申告・納税システムe-Tax
- 税務署に直接持参する
- 税務署に郵送する
e-Tax(電子申告)は自宅から申告書を送信できる便利なシステムですが、カードリーダーや電子証明書がなければ利用できません。
作成した申告書は印刷して税務署に郵送もしくは持参して提出することもできるため、状況に応じて適切な方法を選択するのがよいでしょう。
贈与税の支払いをしていないことはばれるの?
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「贈与を受けても申告しなければばれないのは?」「車をあげるだけだし税務署に気づかれるはずがない」と思われる方もいるでしょう。
確かに、手渡しでの現金や物の贈与について税務署が把握することは非常に困難です。
ただ、贈与を受けた時点ではばれなくても、後々にばれてしまう可能性があります。現金や預金の贈与については、贈与者が死亡して相続が発生したときに未申告の事実が発覚する事例が多いとされています。
一方、車の贈与については名義変更の際に発覚します。
車の名義を変更する場合、管轄する運輸支局に申請を行わなければいけません。この時点で車の評価がなされ、その金額が贈与者に対して支払われていないと判断された場合には原則贈与として扱われ、贈与税の対象となります。
名義変更による贈与税の発生要件については、以下国税庁の相続税基本通達9-9で定められている通りです。
(財産の名義変更があった場合)
9-9 不動産、株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする。(昭39直審(資)22改正)
引用:国税庁
ただし、夫婦間や親子間において生活に必要な車をあげた場合には贈与税はかかりません。これは夫婦にはお互いを、親子には親が子どもを扶養する義務があるためです。
贈与税がかかるのは、高級車など明らかに嗜好品とみなされる車をあげた場合に限ります。
ではもらった車の贈与税を支払っていないことがばれた場合、どうなってしまうのでしょうか。
贈与税の未申告には、以下のペナルティが課せられます。
|
発生要件 |
税率 |
無申告加算税
|
申告期限までに申告しなかった場合 |
納付すべき税額に対して加算
・~50万円:15%
・50万円超:20% |
重加算税
|
未申告について書類偽造などの不正行為があった場合 |
本来納付すべき税額×40%(無申告加算税に代えて徴収される場合) |
延滞税
|
定められた期限までに納税を完了しなかった場合
|
法定納期限の翌日から納付が完了する日までの日数に応じて加算
・納期限の翌日から2月を経過する日まで:年7.3%
・納期限の翌日から2月を経過した日以降:年14.6% |
参考:国税庁
このように贈与税の未申告、未納には数々のペナルティが設けられているため、申告と納税は適切に行うことが大切です。
贈与税が発生しないようにするにはどうしたらいい?
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実際には車を譲り受けた状況であっても、贈与税が発生しないケースもあります。ここでは、贈与税が発生しない代表的な事例を紹介します。
車の名義変更を行わない
車の名義変更を行わなければ「単に借りて乗っているだけの状況(使用貸与)」となるため、贈与税はかかりません。
車を借りるにあたっていくつか手続きを行う必要はありますが、これらは借りる人単独で行うことができるため、贈与税回避の手段としては最もポピュラーです。
ただし、名義変更を行わずに借りて乗る場合、所有者が加入している自動車保険をそのまま適用できるかどうか保険会社に問い合わせる必要があります。
借りて使用している状況であっても所有者にかわって車検を通すこともできますし、所有者の了解があれば売却することもできます。しかし、所有者が死亡して相続が発生した場合にはこの限りではありません。
所有者が死亡した後も車を使用する場合には、自身が相続人となり名義変更の手続きを行う必要があります。この場合、相続税が課せられる可能性があります。
査定価格が110万円以下になるのを待つ
新車で購入した車を一定期間利用して、車の査定額が非課税枠の110万円を下回るまで待ってから贈与するのも一つの方法です。
新車を譲り渡す場合贈与額は新車の購入金額となりますが、中古車であればその時点での時価となるため評価額=贈与額を一気に下げることができます。
例えば、新車を父親の名義で購入し、名義変更は行わずに一定期間子どもに貸し出す形を取ります。期間が経過するにつれて、新車は新古車、もしくは中古車として扱われるようになり、評価額はどんどん下がっていきます。
そして、車の評価額が110万円以下となったタイミングを狙って車の名義を父親から子どもに変更すれば、贈与税はかかりません。
110万円以下で金銭的な援助をする
シンプルではありますが、車の購入資金の一部として非課税枠内の110万円以下の現金を渡すのもよいでしょう。110万円以下での金銭的援助であれば、当然贈与税はかかりません。
贈与税の非課税枠は1年間の贈与額の合計が110万円を超えないことを条件としています。これを利用して、例えば300万円の車を子どもに買ってあげた際に毎年100万円づつの贈与を3年間続けて行えばよいのではないかと考える方もいるでしょう。
しかし同額の贈与を毎年同じ時期に行うと「初めから贈与する額が決まっていて、それを分割して贈与している」とみなされ、贈与税が課せられるケースがあります。
この点を踏まえ金銭的援助は規則的に行うのではなく、援助したい時期に援助したい額をあげることが大切です。
車を売るなら楽天Car車買取!
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今回は、車を譲り受けた場合に発生する贈与税について詳しく解説しました。
贈与税は、車の価格(時価)が非課税枠の110万円を超えた場合に発生します。贈与税が発生するにも関わらず申告を行わないと後々大きなペナルティが課せられる可能性があるため、申告・納税は適切に行いましょう。
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参考サイト
No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)(参照日:2020-02-24)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
車の名義変更と贈与税(参照日:2020-02-24)
https://www.happy-souzoku.jp/souzoku-11589.html
車を買ってあげたら贈与税が発生?かしこい車の渡し方とは!(参照日:2020-02-24)
https://www.oag-tax.co.jp/asset-campus-oag/car-gift-tax-252#4-1
車を買ってもらったら贈与税発生?課税される金額と税金の計算方法(参照日:2020-02-24)
https://chester-tax.com/encyclopedia/14736.html
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