2021-12-06
車を購入すると減価償却はどうなる?法人と個人事業主それぞれ解説
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車を購入した場合、減価償却の方法が解らずにお悩みではありませんか?
本記事では、減価償却についての解説と、車の購入した場合の減価償却について解説していきます。
車を購入した場合、減価償却の方法が解らずにお悩みではありませんか?
会計処理の中で減価償却はかなり重要ですが、会計初心者や事業を始めたばかりの方の中には理解が難しいという人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、車の購入した場合の減価償却の方法について解説していきます。
法人だけでなく、個人事業主の場合も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
減価償却とは
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まずは、減価償却について復習しましょう。
減価償却とは、車などの購入費用を必要経費として計上するための方法のことです。
法人や個人事業主にとって税金は、売上から経費を引いた金額を元に決定するため、車の購入費用を経費にすることができれば、その分税金が抑えられることになります。
しかし、車などの耐用年数が1年以上あり、購入金額が10万円を超えるものに関しては、「固定資産」と呼ばれます。固定資産の中でも車などの年々劣化していく資産は「減価償却資産」に当たり、通常の経費の計上の仕方と異なります。
会計上では、車などの高額で長期的に使用するものは、その資産価値は時間が経過するにつれて、年々価値が低くなっていくという考え方をします。
車などの減価償却資産の購入費用は、購入した年度に全て経費として計上されるわけではなく、財務省で定められている耐用年数を元に、金額を分割して必要経費として計上します。
この必要経費を割り出すための計算が「減価償却」にあたります。
青色申告者であれば、30万円未満の車を1度に必要経費にすることが可能ですが、それ以外の車などの資産は減価償却して経費計上しなくてはなりません。
減価償却して算出された金額を経費として処理するためには、「減価償却費」として仕訳をされます。
車を経費にするための要件
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全ての人が車の購入費用を経費にすることができるわけではありません。
経費として計上できるのは、事業で使用する場合のみです。
そのため、必然的に以下のような場合が経費として認められることになります。
もし、1台の車をプライベートと事業の両方で利用している場合は、車の費用を全て経費にすることは認められません。実際に仕事で使っている割合のみを経費として計上する必要があり、この考え方を「家事按分(かじあんぶん)」と言います。
家事按分は事業のために車を使用した日数、もしくは走行距離を元に割合を算出します。
例えば、平日は事業、休日はプライベートのために使用しているのであれば、71%が按分割合となります。
特に、個人事業主の場合は、プライベートでも併用して車を使用していることが多いため、全額を経費として認められるのは難しいので注意が必要です。
車を購入した場合の減価償却
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減価償却を計算するためには、3つの要素を知る必要があります。
それぞれを具体的に解説していきます。
耐用年数
耐用年数とは、固定資産が利用できると想定される年数のことです。
耐用年数と言うと実際に車が使うことができなくなるまでの年数とイメージする人も多いかもしれませんが、使うことができた年数ではなく、国税庁により明確に定められています。
一般車の場合の法定年数の表は以下の通りです。
一般用の車の法定耐用年数(運送事業者、貸自動車業用、自動車教習所用を除く)
小型車(総排気量0.66リットル以下)
|
4年
|
貨物自動車(ダンプ式)
|
4年
|
貨物自動車(ダンプ式以外)
|
5年
|
報道通信用
|
5年
|
上記以外
|
6年 |
(2021年11月現在)
引用:確定申告書作成コーナー
前項でも触れた通り、車は毎年一定の金額を減価償却費として経費計上しますが、この耐用年数と車の購入金額を元に計算をします。
定額法と定率法
減価償却の方法には定額法と定率法の2つの方法があります。
税務署に何も申請していない場合は、個人には定額法、法人には定率法が適用されますが、届出を行えば任意で選択することができます。
定額法と定率法の特徴と計算方法は以下の通りです。
定額法
特徴 |
計算方法 |
・減価償却費の額が毎年同じになる。
・申請をしなければ個人に適用される。 |
取得価額×定額法の償却率 |
定率法
特徴 |
計算方法 |
・減価償却費の額が初年度は高く設定され年々減少する。
・定率法の償却率により計算した償却額が「償却保証額」に満たなくなった年分以後は、毎年同額となる。
・申請をしなければ法人に適用される。
|
未償却残高×定率法の償却率
(ただし、上記の金額が償却保証額に満たなくなった年分以後、改定取得価額×改定償却率)
|
引用:国税局
これだけだと、イメージがつきにくいかと思いますので、次項で定額法と定率法を使った償却率の計算方法の事例をご紹介していきます。
償却率
償却率は定額法と定率法どちらを選択しているかによりそれぞれ異なります。
まずは定額法の償却率について、解説していきます。
定額法の償却率
耐用年数 |
償却率 |
2年
|
0.500 |
3年
|
0.334 |
4年 |
0.250 |
5年 |
0.200 |
6年 |
0.167 |
引用:国税局
定額法における減価償却費の計算方法は「取得価額×定額法の償却率」です。
例として、250万円の一般車を新車で購入した場合の償却率の求め方を解説していきます。
車両条件:新車の一般車
購入金額:250万円
利用目的:交通手段のため
定額法での計算方法
- 利用目的が移動で一般車を購入した場合、耐用年数は6年
- 耐用年数6年の償却率は0.167
- 購入費用250万円×償却率0.167=41.75万円
よって、6年間で毎年約41万円ずつ減価償却費を計上していけば良いということがわかります。
次に定率法の償却率について解説していきます。
定率法の償却率
耐用年数 |
償却率 |
改定償却率 |
保証率 |
2年
|
1.000 |
- |
- |
3年
|
0.833 |
1.000 |
0.02789 |
4年 |
0.625 |
1.000 |
0.05274 |
5年 |
0.500 |
1.000 |
0.06249 |
6年 |
0.417 |
0.500 |
0.05776 |
引用:国税局
定率法における減価償却費の計算方法は「未償却残高×定率法の償却率」です。
定額法とは異なり、初回の減価償却費が高くなり、年々金額が低くなっていくのが特徴です。
定額法に比べると定率法の方が少し複雑になるため注意が必要です。
先ほどの定額法と同じ条件で利用目的で250万円の一般車を新車で購入した場合で考えてみましょう。
車を購入した初年度は、以下のように計算します。
車両条件:新車の一般車
購入金額:250万円
利用目的:交通手段のため
初年度の定率法での計算方法
- 利用目的が移動で一般車を購入した場合、耐用年数は6年
- 耐用年数の償却率は0.417
- 購入費用250万円×償却率0.417=104.25万円
つまり初年度は約104万円が減価償却費として計上することができます。
また、次年度以降には未償却残高×償却率で計算します。
未償却残高は、まだ減価償却費として計上していない金額のことです。
今回の場合だと、購入費用から初年度の減価償却費を引いた金額が未償却残高となります。
2年目の定率法での計算方法
- 購入費用250万−104.25万円=未償却残高145.75万円
- 未償却残高145.75万円×0.417=60.882万円
このように2年目の減価償却費を求めます。
以後の年度も同じように未償却残高を元に計算する必要があります。
また、この計算方法で算出された金額が償却保証額(購入価格×保証額)を下回った場合は、未償却残高×改定償却率で減価償却費を求めます。
中古車の減価償却
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ここまで、新車で購入したことを前提として解説してきましたが、中古車を購入した場合の減価償却はどのようになるのでしょうか。
中古車に関しては、新車の場合の耐用年数は適用されず、利用できるであろう残りの期間を想定して計算します。
また、購入する車の耐用年数が経過しているかどうかで、計算方法が異なってきます。
算出方法は以下の通りです。
(1)法定耐用年数の全部を経過した車
|
その法定耐用年数の20%に相当する年数
計算式:
法定耐用年数×0.2=中古車の耐用年数
|
(2)法定耐用年数の一部を経過した車
|
その法定年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数
計算式:
(新品の場合の法定耐用年数–経過年数)+(経過年数×0.2)=中古車の耐用年数
|
引用:国税庁
少しわかりにくいのですが、中古車の耐用年数さえ算出できれば、その後の計算手順は新車と同じです。
定額法もしくは定率法を使って法定耐用年数2年に該当する償却率を元に、減価償却費を算出することができます。
まずは(1)法定耐用年数の全部を経過した車の具体例を確認していきましょう。
もし、購入した中古車が6年落ちで法定耐用年数の全部を経過している場合は、以下のような計算式が成り立ちます。
車両条件:6年落ちの中古一般車
利用目的:交通手段のため
(1)法定耐用年数の全部を経過した中古車での計算方法
6年(法定耐用年数)×0.2=1.2年
法定耐用年数である6年を全て過ぎているため、上記の結果となります。
法定耐用年数は最短で2年と定められているため、2年を下回る今回の結果の場合でも2年で減価償却をします。
そのため必然的に6年落ち以上の車は、基本的に全て2年で償却することになります。
次に(2)法定耐用年数の一部を経過した車の具体例を確認していきましょう。
新車だった場合の法定耐用年数を6年と仮定して、2年落ちの購入した場合、中古車の耐用年数は以下のように計算します。
車両条件:2年落ちの中古一般車
利用目的:交通手段のため
(2)法定耐用年数の一部を経過した中古車での計算方法
- 6年(法定耐用年数)-2年(経過耐用年数)=4年
- 2年(経過耐用年数)×20%=0.4年
- 4年+0.4年=4.4年
上記の計算式で耐用年数は4.4年と算出されましたが、1以下の数字は切り捨てられるため、この場合は耐用年数は4年ということになります。
これらの計算で、中古車の耐用年数は割り出すことができたので、その後は新車と同じ手順て計算できます。
耐用年数から定額法か定率法の償却率を確認して計算すれば、減価償却費を算出することができます。
ローンで購入した車の減価償却はどうなる?
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ローンで車を購入した場合はどうなるのでしょうか?
ローンで車を購入する場合、月々の支払いは経費として計上できません。
現金で車を購入した時と同じように、元金を減価償却して計上します。ローンの利息分については支払利息として別途、経費として計上することができます。
ローンでの支払い分については、車の購入費用は固定資産、ローンは負債として計上するため、月々の支払いをすることで、負債がだんだん減っていく仕組みになります。
年度の間にローンで実際に支払った金額と、申告できる減価償却費は異なりますが、最終的に総額は同じになるため問題ありません。
車などの資産の場合は、減価償却費で購入費用を申告します。
誤って車の購入費用を減価償却費と、支払ったローンの費用両方を申告しないように注意しましょう。
車で節税対策は可能?
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車を購入することで、購入費用以外にも以下の維持費などが経費の対象になります。
- 車検料金
- 自動車税、自動車重量税
- 保険料(自賠責保険料、任意保険料)
- ガソリン代
- 駐車場代
- 消耗品費
- 修繕費
- 旅費交通費(高速道路料金、時間貸駐車場代金)
これらのものが、経費として計上することができます。
しかし、個人事業主の場合は注意が必要です。
個人事業主の場合、車を完全に事業用としてのみ利用していると証明できない場合、車の購入費用と同じように基本的に家事按分が適用されることがほとんどです。
事業以外にプライベートでも利用する車の場合は、全てが経費になるわけではありません。家事按分は車の購入費用だけでなく維持費にも適応されるため、もし事業で車を使う頻度が少ない場合は思ったほどの節税効果が見込めない可能性が高いです。
保有していることが負担になっているということであれば、車を手放してカーリースやレンタカーなどの方が経費の仕分け方もシンプルになるためおすすめです。
もし、事業でどうしても車が必要不可欠の場合であれば、購入するのは4年落ちの中古車がおすすめです。
4年落ちであれば耐用年数が最低の2年となり、定額法であれば購入費用の半額、定率法であれば全額をその年の減価償却費として申告することができるため、所得を抑えることで節税効果を期待することができます。
車を売りたいなら「楽天Car車買取」がおすすめ!
引用:楽天Car車買取
ここまで、車を購入した際の減価償却の方法について解説しました。
車を購入した場合、状況によって減価償却費の計算方法などが異なっているので、申告の際は間違えないよう注意が必要です。
また、減価償却中の車の売却や買い替えは仕訳が複雑になるため、できるだけ償却期間が終了してから行うようにしましょう。
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参考サイト
減価償却のあらまし(参照日:2021-11-18)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
減価償却資産の耐用年数等に関する省令(参照日:2021-11-18)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340M50000040015
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