メルセデス・ベンツ Bクラス(2012年式、4万5千～5万km)の車検実績

【サーモスタッドハウジング交換】
車検の事前点検のご予約を頂いておりましたお客様からご連絡があり「走行中に突然エンジンルームから煙が出た為、これからレッカーでそちらへ向かうので見て欲しい。」との事でレッカーで入庫後、お客様から状況を伺いお車の状態を確認させていただきました。
煙が出てから水温計が上昇しオーバーヒート状態との事でした。ひとまずお車をお預かりし点検させていただきましたが、サージタンク内のラジエター冷却液が空っぽ状態の為とりあえず水道水を入れてみたところ、エンジンの裏側付近から勢いよく水が漏れ出してきました。
漏れた冷却液がマフラーのセンターパイプにかかった為マフラーの熱で煙が出たようです。漏れている個所を特定するにも上からも下からも、全く見えない場所から漏れており、手鏡を駆使しようやくサーモスタッドハウジングから漏れている事を確認しました。

※インテークマニホルド下の見えない所にサーモスタッドハウジングがあります。

サーモスタッドハウジングには一定の水温（96℃）で弁が開くサーモスタッドが内蔵されております。サーモスタッドの役割は短時間で冷却液を暖める効果と高温になった冷却液をラジエターへ送り、冷やす事でエンジンの状態を一定に保つ重要な役割を担っております。
早速サーモスタッドハウジングの取り外しにかかりますが、インテークマニホルドの下に位置している為インテークダクト・エアクリーナーボックス・スロットルボディ・インテークマニホルド・各種ホース・カプラーなどありとあらゆる部品を取り外します。
※奥にわずかにサーモスタッドハウジングが見えます。

ようやくサーモスタッドハウジングまで辿りつけましたが、ホース5本で繋がっており見えない部分は手鏡を駆使しホースバンドをずらし、ようやく取り外す事ができました。
取り外した物を見てみるとハウジングケースを突き破りサーモスタッドのスプリングが飛び出しているではありませんか！ハウジングケースは強化プラスチック製ですが、マフラーのセンターパイプの上に位置しており熱がこもりやすい場所についている為劣化しやすいのではないかと思いました。

※左手前が取り外したサーモスタッドハウジング。内部のスプリングがケースを突き破り飛び出しています。
（右奥の新品部品へホース類は既に移植済です。）

新品の部品にホースを移植し、取り外した逆の手順で組み直します。インテークマニホルド・スロットルボディのシールも新品に交換します。

組み直し完了後、冷却液を入れエンジンをかけて漏れが無いか確認したところ異常が発生しました。なんと水温計が上がったり下がったりタコメーターのような動きをするではありませんか！

メーターにはチェックランプは出ておらず、ECUにもエラーが出ておりませんので水温センサーの不良だと判断がつきました。後日水温センサーを交換しましたが、なんとサーモスタッドハウジング横のシリンダーブロックに位置している為、再度すべて取り外す作業になりました。
2度手間にはなりましたが、水温センサー交換後は水温計も安定しており良好な状態になりました。


サーモスタッドハウジング破損の原因ですが、ラジエターの電動ファンも正常ですし他の部分からも冷却液の漏れが無いことからオーバーヒートによる損傷ではなく、ハウジングの素材そのもの劣化と思われます。W246のエンジンには比較的多いトラブルのようです。
お客様も大事なお車が直って大変喜ばれておりました。これで遠出も安心ですね♪ありがとうございました(*^-^*)
当店では日頃のメンテナンスをはじめ、運行前点検などのお手伝いもさせて頂いております。お気軽にお申し付けくださいませ。