コンパウンドは、小さく浅い擦り傷の補修に適した代表的な傷消し剤です。
ここでは、コンパウンドを使用して自分で車の傷修理をする場合に必要な道具と、修理の工程を順を追ってご紹介します。
コンパウンドで傷を補修する際には、以下の道具を揃えましょう。
コンパウンドを使って自分で傷を補修する際に必要な道具
- コンパウンド(傷の状態に合わせて適宜数種類)
- スポンジ
- クロス
- マスキングテープ、養生テープ
- 電動ポリッシャー(広範囲の補修向け)
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スポンジは研磨作業時に必要となります。スポンジは保水性が高いタイプのものを用意しておくと、摩擦熱による削りすぎを防ぐことができます。できればセルロース系(天然パルプなどが原料)か、ポリビニルアルコールフォームのワックススポンジなどを揃えておくといいでしょう。
コンパウンドには専用のスポンジが付属しているものも多いため、専用スポンジを使用するのもひとつです。クロス(布)は、コンパウンドの拭き取り時に使用します。柔らかいネル地のものを選ぶと作業が円滑に進みます。
作業が広範囲にわたるボンネットやドアなどの箇所を補修する際には、電動ポリッシャーがあると便利です。電動ポリッシャーは電動ドリルの先端に円盤状のパフが取り付けられている機械で、パフを回転させて研磨していきます。安いものであれば3,000円程度から購入でき、コンパウンドによる研磨補修以外にもワックスがけにも使用できます。
マスキングテープは、補修範囲以外に薬剤がつくことを防止する目的で使用します。コンパウンドによる補修作業では塗装面を削るため、ほかの箇所に傷がつかないよう対策をとることは非常に大切です。
道具を揃えたら、作業を行う環境を確認します。
補修作業は、以下の条件下で行いましょう。
コンパウンドでの補修作業に適したコンディション
液体タイプのコンパウンドには、塗布するとすぐに乾いてしまう性質があります。直射日光によってボディが熱を帯びると効果を十分に発揮することができなくなるため、直射日光が当たらない環境下で作業を行うことが大切です。
また風が吹くとホコリや砂、鉄粉などの粉塵が舞い上がり、車に付着してしまいます。汚れが付着していると補修の妨げとなるため、風が当たらない場所を確保するようにしましょう。
次に、コンパウンドを使って自分で傷補修をする場合の作業の工程をご紹介します。
傷補修は、以下の手順で作業を行います。
コンパウンドでの傷補修の作業工程
- しっかりと洗車する(シャンプー洗車、粘土クリーナー推奨)
- マスキングテープで傷の周辺を保護する
- スポンジ全体を水に濡らして絞り、コンパウンドをつけて傷に沿ってなでるようにこする
- クロスでコンパウンドの薬剤をやさしく拭き取る
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自分で補修作業を始める前に、まずはしっかりと洗車を行いましょう。車のボディには目に見えない泥や油分、石、ほこりなどの汚れが多数付着しています。これらを落とさないまま作業をしてしまうと、新たな傷を作ってしまう恐れがあるため、洗車を念入りに行うことが大切です。
洗車はより洗浄効果の高いシャンプー洗車を行い、さらにシャンプー洗車でも落とすことが難しい鉄粉などの汚れを粘土クリーナーを用いて取り除きます。
次にコンパウンドを塗布して研磨作業を行います。スポンジ全体を水に浸したら、水滴が垂れてこない程度まで絞ります。コンパウンドの量は、液体タイプであれば500円玉大、ペーストタイプであれば1cm程度が適量です。これらをスポンジに乗せ、傷の部分にスポンジを何回か押し付けましょう。
続いてスポンジを傷に沿って直線的にやさしくなでるように動かしていきます。磨き方が適切であれば、キュッ、キュッという音がするはずです。10回ほど磨いたら、縦横を織り交ぜて磨いていきましょう。なお、円を描くように磨く方法はムラや新たな傷の原因となるため、避けるのがおすすめです。
コンパウンド補修では、大きさの異なる粒子の薬剤を数種類使いわけることになります。まずは一番細かい粒子のもので磨いてみて効果を感じられなかった場合には、より粒子が大きいものに代えて作業していきましょう。一度削ってしまった塗装は二度と元に戻すことができないため、面倒ではありますが必ず粒子の細かいものから順に使っていくことが鉄則です。
コンパウンドを替えるときは、同時にスポンジも新しいものに替えるようにします。傷が目立たなくなってきたら、粒子の小さいコンパウンドで磨き傷を消していきます。磨き傷がなくなったら艶出し用のコンパウンドで磨き、研磨作業は完了です。
最後にクロスで薬剤を拭き取り、仕上がり具合を確認します。クロスは主に拭き取り用に使用しますが、スポンジでは届きにくい複雑な箇所を作業する際にはクロスで磨くのもいいでしょう。
こちらの記事で、コンパウンドの使い方や注意点についてさらに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:【車のキズ修理】コンパウンドとは?使い方や注意点などを解説
次項では、タッチペンを使用した浅いひっかき傷の修理作業について解説します。