2022-01-04
車検に合格できる最低地上高は?車高の保安基準や注意すべき点を解説
画像出典:Adobe Stock
車検では最低地上高の基準が定められています。そのため、車高を下げる場合には、この保安基準に適合するように気を付けなければなりません。車検における最低地上高の基準や注意点を徹底解説しますので、正しく理解しましょう。
車検では最低地上高の基準が定められています。そのため、車高を下げる場合には、この保安基準に適合するように気を付けなければなりません。車検における最低地上高の基準や注意点を徹底解説しますので、正しく理解しましょう。
【本文】
車検に通る最低地上高について正しく把握していますか?車検にはさまざまな検査項目があり、路面と車体の距離である最低地上高にも基準が定められています。車高を下げる「ローダウン」をこれからしようと検討している人や、すでにカスタマイズ済みの人は、保安基準をきちんと理解しておかなければなりません。
そこで本記事では、車検での最低地上高の基準について解説します。保安基準で定められている最低地上高の高さや測定方法などを詳しく解説しますので、車高を下げたいと考えている人はもちろん、既に下げている人も、この記事を参考に適切な整備を心がけてくださいね。
車検に合格できる車高の最低地上高は?
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最低地上高とは、路面と車両の最も低い部分の距離のことです。道路運送車両の保安基準第3条で次のように記載されています。
道路運送車両の保安基準 第3条
自動車の接地部以外の部分は、安全な運行を確保できるものとして、地面との間に告示で定める間げきを有しなければならない。
引用:国土交通省
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つまり、路面と車両の最も低い部分の距離が、一定以上開いていなければならないということになります。結論から先に言ってしまうと、車検に通るための最低地上高は9cmです。しかし、実際には次のように細かく条件が定められています。
道路運送車両の保安基準を定める告示 第163条
求めた地上高は、(1)から(3)の基準をそれぞれ満足していること。
(1)自動車の地上高(全面)は、9cm以上であること。
(2)軸距間に位置する自動車の地上高は、次式により得られた値以上であること。
H=Wb・1/2・sin2°20′+4
(3)前輪より自動車の前方又は後輪より自動車の後方に位置する自動車の地上高は、次式により得られた値以上であること。
H=Ob・sin6°20′+2
※記号の意味および三角関数正弦の数値は次の通り
H=自動車の地上高(cm)、Wb=軸距(cm)、Ob=前軸から自動車の前方の地上高を測定しようとする位置と前軸の中心線との距離(cm)、Sin2°20′=0.04、Sin6°20′=0.1
引用:国土交通省
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2つ目と3つ目の基準がわかりにくいかと思いますが、ホイールベース(前輪の中心と後輪の中心の距離)が広い車は注意が必要です。ホイールベースが300cm以上の大きい車の場合、この計算式に当てはめると、最低地上高10cm以上が基準となってしまうのです。
小型自動車や普通自動車は、基本的に最低地上高9cmという認識で問題ありませんが、大型のミニバンなどでホイールベースが300cm以上の車の場合は、10cm以上ないといけないこともあると理解しておきましょう。
違法改造扱いになるとどうなる?
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全ての車は、保安基準に適合していなければ公道を走行してはなりません。保安基準に適合しなくなるような車の改造は不正改造に当たるので十分に注意しましょう。今回のテーマである最低地上高で考えると、9cm以下(車によっては10cm以下)の車は不正改造になってしまいます。
不正改造はれっきとした犯罪です。不正改造を実施した人には、道路運送車両法によって6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。不正改造が指摘され、整備を行うように命じられたにも関わらず、これに従わない場合にも、車両の使用停止命令や50万円以下の罰金対象です。
また、車高を下げたときに気を付けなければならない不正改造は、最低地上高に関するものだけではありません。車の車高を変更する場合、車検証に記載された数値から4cm以内の変更のみ、「軽微な変更」として特別な届け出は不要としています。しかし、車高を4cm以上高くまたは低くする場合には、構造等変更検査と呼ばれる検査を受けなければ不正改造になってしまうのです。
つまり、車高変更後、最低地上高は9cm以上保たれていたとしても、車高が4cm以上低くなっているケースは不正改造に当たります。車高を下げる際は最低地上高だけでなく、車高が車検証に記載された数値から4cm以上変わっていないか確認し、4cm以上の変更となる場合には構造等変更検査を受けるようにしましょう。
車検時に車高はどのように計測されている?
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最低地上高の保安基準を考えるときに気を付けなければならないのは、どのような条件で計測するかということです。
まず、最低地上高は「最低」という名称の通り、車体の1番低いところで計測を行います。ただし、次の箇所は除外されることに注意しましょう。
道路運送車両の保安基準を定める告示 第163条
- タイヤと連動して上下するブレーキドラムの下端、緩衝装置のうちのロアアーム等の下端
- 自由度を有するゴム製の部品
- マッドガード、エアダムスカート、エアカットフラップ等であって樹脂製のもの
引用:国土交通省
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これらの箇所を除いて考えると、最低地上高はマフラーのタイコ(消音器)またはリアデフ(後方のディファレンシャルギア)部分で計測されることが多いです。車の整備に慣れていない人は聞き馴染みがないかもしれませんが、タイコはマフラーの出口付近に取り付けられている太鼓のような形のパーツ、リアデフは左右のタイヤの間に取り付けられている歯車のようなパーツのことを言います。
ディファレンシャルギア 画像出典:Adobe Stock
事前に自分で確認をするときにも、どこが1番低いかわからない場合には、マフラーのタイコとリアデフで測っておくと良いでしょう。
また、さらに詳細な測定条件が次のように定められています。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第163条
地上高は、次の方法により求めるものとする。
(1)測定する自動車は、空車状態とする。
(2)測定する自動車のタイヤの空気圧は、規定された値とする。
(3)車高調整装置が装着されている自動車にあっては、標準(中立)の位置とする。ただし、車高を任意の位置に保持することができる車高調整装置にあっては、車高が最低となる位置と車高が最高となる位置の中間の位置とする。
(4)測定する自動車を舗装された平面に置き、地上高を巻き尺等を用いて測定する。
(5)測定値は、1cm未満は切り捨てcm単位とする。
引用:国土交通省
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つまり、この5つの条件下で計測された高さが9cm以上という基準を満たしていなければなりません。
例えば、タイヤの空気圧を高くすれば車高が数mm上がるため、わずかに9cmに届かない程度であれば、一時的に空気圧を高くして車検を通すことを考える人もいるようです。しかし、測定条件に「タイヤの空気圧は規定された値とする」という記載があるため、空気圧によって車高を上げて9cmを超えるように調整することはできません。
車検では空気圧を測定する検査項目がないため、少し空気圧を上げている程度なら通ってしまうケースがあることも実情ですが、当然指摘されてしまう可能性があるので、基本的には既定の空気圧で測定することを想定して整備しておくべきです。
最高地上高以外にも注意すべき点2つ
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最低地上高の保安基準および測定方法を解説しましたが、注意しなければならないことはこれだけではありません。ここでは、車高調整装置を取り付けている場合の注意点および、車高を下げたときに指摘されやすいウィンカーやフォグランプの保安基準について解説します。
車高調整装置で高さを維持している
まず、車の高さを変えることができる車高調整式サスペンション(車高調)を取り付けているケースについて考えていきましょう。車高調整式サスペンションの取り付けは改造に当たらないため、取り付けていること自体は保安基準上何も問題ありません。
しかし、車高調整式サスペンションを付けている場合、最低地上高の測定方法について少し注意が必要です。先ほど測定条件をご紹介しましたが、その中にこのような文言がありました。
車高調整装置が装着されている自動車にあっては、標準(中立)の位置とする。ただし、車高を任意の位置に保持することができる車高調整装置にあっては、車高が最低となる位置と車高が最高となる位置の中間の位置とする。
引用:国土交通省
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つまり、車高調整式サスペンションで9cmまで上げていれば車検に通るというわけではなく、調整できる範囲の中間で測定して9cm以上なければならないということです。現在では、ほとんどの車高調整式サスペンションが保安基準を考えて作られていますが、念のため事前に確認しておきましょう。
ウィンカーやフォグランプの保安基準を加味していない
車高を下げたときに気を付けなければならないのは、最低地上高だけではありません。車高を下げることで保安基準から外れやすいのが、ウィンカーとフォグランプの取り付け位置です。
ウィンカーとフォグランプは、道路運送車両の保安基準で次のように取り付け位置が定められています。
道路運送車両の保安基準 別添52
自動車の前面又は後面に備える方向指示器は、その照明部の下縁の高さが地上350mm以上となるように取り付けられなければならない。
専ら乗用の用に供する自動車であって乗車定員が10人未満のものに備える前部霧灯は、下縁の高さが地上250mm以上となるように取り付けられなければならない。
引用:国土交通省
国土交通省
つまり、ウィンカーは路面から35cm以上、フォグランプは路面から25cm以上の位置に取り付けられていなければならないということです。
車高を下げると、当然ウィンカーとフォグランプの位置も下がります。そのため、最低地上高の基準はクリアしていても、ウィンカーまたはフォグランプの取り付け位置が基準より低くなってしまうことで、車検に通らない可能性があるのです。ウィンカーとフォグランプの保安基準も併せて理解し、適切に整備を行いましょう。
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この記事では、車検での最低地上高の基準について解説しました。最低地上高は9cm以上と定められているので、車高を下げる改造をする場合はこの基準を下回らないように注意してください。
もちろん、車検では他にも多くの検査項目があります。車検が近づくと無事に合格するかどうか不安になるかと思いますが、事前にしっかりと確認や整備をしておきましょう。
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参考サイト
シャコタンのクルマは要注意! 最低地上高9cm以上でも車検をパスできないことも(参照日:2021-11-22)
https://www.automesseweb.jp/2019/06/13/164171
不正改造に対する罰則等(参照日:2021-11-22)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/huseikaizou/h1/h1-3/
構造等変更検査(参照日:2021-11-22)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/kensatoroku/kensa/kns05.htm
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