2022-09-14
車のへこみを熱湯で直すのは危険!絶対にやめた方がいい理由5つを解説
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「車のへこみは熱湯で直せるって本当?」と考えていませんか?
本記事では、熱湯で車のへこみが直る仕組みや、その危険性について解説しています。車のへこみを正しく修理する方法について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
「車のへこみをできるだけ安く修理したい」「車のへこみは熱湯で直せるって本当?」と疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
車のへこみは、一見すると走行に影響がないように感じるため、緊急性が少ないように感じます。また小さなへこみなら、できるだけ修理費用を抑えようと、自宅で修理したいと考えている方も多いでしょう。確かに、車体に熱湯をかけてへこみを直す方法はありますが、実は大きなデメリットや危険性が隠れています。
本記事では、熱湯で車のへこみが直る仕組みの解説と、その危険性について解説しています。正しい修理方法と、へこみの程度に合わせた修理業者の選び方もご紹介しますので、車のへこみの修理方法について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
車のへこみは熱湯で元に戻せる?
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「車のへこみは熱湯で直せる」と耳にした方も多いでしょう。そもそも、車に熱湯をかけてへこみを直すというのは、どういった方法なのでしょうか。
具体的には、車のへこみに熱湯をかけることで、一時的に車の表面をやわらかくし、温度変化している間に変形を直す方法です。手順は下記のとおりです。
- 熱湯をへこみ部分にかける
- 板金用ハンマーで内側から叩く
- 冷却スプレーで急速に冷やす
それぞれ具体的に解説していきます。
【1.熱湯をへこみ部分にかける】
まずは、へこみ部分に熱湯をかけて、車の表面をやわらかくします。高温にならないと変形しないため、沸かしたばかりのお湯を複数回かけながら温度を上げていきます。指先でふれた時に「熱い」と感じて手を離したくなる程度が目安です。
車体の表面を暖めることが目的なので、熱湯以外にも、ドライヤーやヒートガンで熱する方法もあります。ただドライヤーは広範囲を熱するのに時間がかかりますし、ヒートガンを持っていない家庭も多いと思います。熱する方法の一例として、参考にしてください。
【2.板金用ハンマーで内側から叩く】
表面がやわらかくなったら、冷めないうちにハンマーでへこみを叩いて元に戻していきます。この時、内側からやさしく何回も叩くのがポイントです。力を込めすぎると反対にへこんでしまったり、表面がなめらかにならずデコボコしてしまうので、少しづつ作業を進めていきます。
【3.冷却スプレーで急速に冷やす】
最後に、車の表面が熱いうちに冷却スプレーで急速に冷やします。この工程は、急速に冷やすことでへこみが元の状態に戻ろうとする力を利用したものです。
へこみの直り具合を見ながら、1~3の工程を何回か行って修理していきます。ただし、へこみができている部分によって、作業の難易度は大きく変化してきます。
樹脂部分ならへこみが元に戻る可能性がある
車のなかでも、バンパーやフェンダー部分は比較的へこみが元に戻りやすいとされています。バンパーやフェンダーは樹脂(プラスチック)でできているため、熱の影響を受けやすく、簡単に熱でやわらかくなるためです。
熱い場所に樹脂製品を放置しているとグニャっと変形してしまったり、火の近くに樹脂製品を置いていたら歪んでしまった経験は、誰しもがあるかと思います。
また、やわらかくなった樹脂を急速に冷やすと、やわらかくなっていた表面がギュッと縮み、へこみが元の状態に戻ろうとする力が発生します。バンパーやフェンダーもこの力を利用して、熱する→叩く→冷ますを繰り返すことで、へこみが戻るとされています。
このような原理で、車体のなかでも樹脂でできている部分のへこみに関しては、熱湯をかけて元る可能性の高い部分と言えるでしょう。
金属部分は難しい
樹脂とは反対に、ボンネットやドアのような、金属でできている部分は、熱による温度変化が起きにくいとされています。これは金属のほうが樹脂と比較して耐熱性や耐衝撃性に優れているためです(参考:株式会社フカサワ|樹脂(プラスチック)材料の特性~金属との使い分けを知ろう! )。そのため、金属はかなり高温で熱しないと、変形しづらいのが特徴です。
沸かした熱湯や、家庭用ドライヤーなどでは金属を変形させるほどの熱を加えられないため、修理を行うのは難しいと言えるでしょう。
車のへこみを熱湯で直すのが危険な理由5つ
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車のへこみを熱湯で直すのは、不可能ではありませんが、かなり危険性が高いと言えます。
その理由は5つあり、どれも車や内部のシステムに悪影響を及ぼす危険性があるためです。
それぞれ詳しく解説していきます。
綺麗に修復するのが難しい
素人が車に熱湯をかけてハンマーで叩くので、綺麗な仕上がりになる可能性は極めて低いと言えます。修理業者がへこみの修理を行う場合、へこんだ部分のパーツを車体から取り外し、専用の工具とヒートガンを利用してへこみを整えます。
また、修理後にどうしても残ってしまうわずかな凹凸も、細かく削って表面をなだらかにし、塗装しなおすケースがほとんどです。自宅で修理を行う場合は、パーツを取り外す工程や専用の工具がないため、へこんだ部分に適切に力を加えて修理することができません。
以上のことから、へこむ前の状態のように、綺麗に元通り修復するのは難しいと言えるでしょう。
塗装が剥がれてしまうことがある
熱湯を車体にかけることで、車体の塗装が剥がれてしまう可能性もあります。車の塗装は一番表面のクリア層、クリア層の下にあるカラー層と分かれており、熱湯をかけることで表面のクリア層がダメージを受けて溶けてしまいます。
カラー層がクリア層に守られていない状態になるため、徐々に水が浸透し、車体のサビに繋がる可能性が高まります。
また、お湯をへこみ部分だけかけることは難しいため、へこみ部分の下にお湯が垂れて広範囲に熱湯がかかるでしょう。そうした場合、熱湯がかかった部分のクリア層すべてがダメージを受けてしまうため、大規模な塗装修理が必要になる可能性もあります。結果的に塗装の寿命を縮めてしまうことに繋がるため、塗装へのダメージも頭に入れておく必要があります。
損傷範囲を正しく把握できない
素人がへこみ修理を行う場合、損傷範囲を正しく把握できず、ほかの損傷部分を放置してしまう危険性があります。へこみを見つけた場合、どうしてもその部分だけに目が行ってしまいますが、実際はぶつかった衝撃でほかの部分の塗装が剥がれていたり、ヘッドライトが破損していることも考えられるでしょう。放置してしまうと、気付かないうちに車体がサビていたり、正しくランプが付かず事故に遭う危険性も高まります。
これらは、修理経験のない素人では簡単に判断できません。プロに見積もりを取って車体全体を確認してもらい、修理依頼を出すのがおすすめです。
先進安全技術自動車の調整ができない
近年の車は、「先進安全技術」と呼ばれる車の運転をサポートするシステムが組み込まれているケースがほとんどです。これらの先進安全技術は、車体に取り付けられた無数のセンサーで接触事故やアクセルの踏み間違いを防いでおり、センサーの位置が数ミリずれただけでシステムに大きな影響を及ぼします。運転中に、まったく関係ないところで止まってしまったり、何もないところで警告音が鳴ってしまったり、というトラブルに繋がりかねません。
そういった事態を防ぐためにも、先進安全技術自動車の修理を行う際には、「特定整備制度」が設けられるようになりました。センサーが取り付けられたバンパーやグリルの取り外しを行う際は、国の認証を受けた整備士が最終的な調整を行う必要があります(参考: 国土交通省|自動車特定整備事業について)。
もし修理しようとしている車が、この特定整備制度の対象車だった場合、自宅でむやみに修理を行うと、後々大きな不具合に繋がりかねません。へこみに限らず、こういったシステム上の不具合を発生させないためにも、へこみ修理はプロに依頼するのがおすすめです。
「自分の自動車が特定整備制度の対象車か分からない」という方は、国土交通省のホームページから確認できますので、参考にしてみてください。
国土交通省|電子制御装置整備の対象車両
車の価値が下がる要因になる
車の修理を行うプロが行ったへこみ修理と、素人が行うへこみ修理には大きな差が生まれるため、車を売りに出す際に大幅に価値が下がってしまう可能性も発生します。
素人が行う修理では、仕上がりに差が出るばかりでなく、車体の損傷を放置してしまう可能性もあります。自分でへこみの修理を行うことで、へこみ修理にかかる費用を節約できたとしても、その後の損傷にかかる費用や、査定金額への影響を考えると、あまり得策とは言えません。
自分で行う修理と、プロが行う修理、長期的に見てどちらにメリットがあるのかは一目瞭然です。しっかりメリット・デメリットを抑えて、判断するようにしましょう。
プロはどのように最適な修理方法を選んでいるの?
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プロにへこみ修理を依頼した場合、思った以上に見積金額が高かったり、意外と安く済む場合があります。プロは、何を判断基準にして修理を行っているのでしょうか。
プロが修理方法を選ぶ基準は「小さなへこみ」か「大きなへこみ」かというところにあります。車のへこみ修理は、この「へこみの程度」によって、以下のように方法が変わってきます。
【小さなへこみの場合】
小さなへこみの場合、修理費用は比較的安くなり、短時間で修理が可能です。塗装が剥がれておらず、狭い範囲のみへこんでいる場合は、内側から力を加えて押し出すだけで元に戻る可能性もあります。この場合は、修理に出した数時間後~当日に車が返却されることが多いです。
また塗装が剥がれている場合、まずはへこみを内側から押し出し、その後塗装の修理を行います。狭い範囲の塗装剥がれの場合、こちらも比較的短時間で修理ができるため、大がかりな修理には発展しづらいです。
【大きなへこみの場合】
大きなへこみの場合、へこみの修理も大がかりなものになり、時間と費用がかかります。また大きくへこんだ部分は、高確率で塗装が剥がれているため、塗装の修理も加わってくるでしょう。
加えて、車が大きくへこむほどの衝撃を受けている訳ですから、ほかの部分にも何かしらの影響が出ていると考えられます。そのため、車体をくまなく調べたり、先進安全技術自動車の場合はシステムの調整も行うことになります。それらの修理費用が加わるため、時間と費用がかかることになります。
以上のことから、プロに修理を依頼する場合のメリットはこちらです。
- 先進安全技術自動車の場合は、システムのチェック・調整を行ってくれる
プロに依頼をすることは、時間と費用のかかることですが、それ以上にメリットが大きいと言えるのではないでしょうか。次の章では、プロに修理を出した場合の費用の目安を紹介します。
へこみ修理をプロに依頼した場合の費用目安は?
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車のへこみを修理する際の、費用の目安を紹介します。修理費用は、車のへこみを整える板金と、塗装の修理、必要に応じてパーツ交換の費用で構成されます。
小さなへこみの場合、板金と塗装を合わせても数万円程度で修理できる場合がほとんどです。
修理範囲 |
修理費用(板金+塗装) |
10cm程度 |
2~3万ほど |
30cm程度 |
3~6万ほど |
※2022年7月調べ
大きなへこみの場合は、修理を行うパーツによって、費用が大きく変わってきます。一概には言えませんが、バンパーの修理費用は安く、ボンネットやルーフの修理費用は高くなる傾向があります。また、車が国産か外国産かでも費用は大きく変わってくるので、修理費用は大きく変動するのが特徴です。
修理範囲 |
修理費用 |
バンパー |
3~5万ほど |
ボンネット |
5~30万ほど |
ルーフ |
5~30万ほど |
トランク |
5~30万ほど |
※2022年7月調べ
また、ほとんどの場合は、へこむと同時に塗料も剥がれているので、塗装費用も加わると思っておきましょう。また外国産の車や、特殊なボディカラーが使われている場合は、メーカーから塗料を取り寄せる場合があるため、塗装費用が加算される可能性が高まります。
修理範囲 |
塗装費用 |
10cm程度 |
1~3万ほど |
広範囲 |
10万円~ |
※2022年7月調べ
あまりにもへこみや塗装が剥がれている部分が大きい場合は、修理ではなく、パーツを交換する方が安くつく場合があります。費用はパーツにもよりますが、ドアの場合で15〜20万円ほど、バンパーやルーフの場合は10〜30万ほどが相場です。
ただし、これらはあくまで目安なので、一概に言えるものではありません。もっと正確な金額を知りたい方は、カーショップやガソリンスタンド、ディーラーへ相談しましょう。
へこみ修理はどこに依頼するのがおすすめ?
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車のへこみ修理を依頼したいけど、どこに依頼するのがいいの?と感じる方も多いでしょう。修理依頼できる業者は、大きく分けて2種類あります。
それぞれの特徴や、利用するメリット・デメリットを解説します。
小さなへこみの修理ならガソリンスタンド・カー用品点
小さなへこみや、狭い範囲の塗装の修理なら、ガソリンスタンドやカー用品店を利用するのがおすすめです。理由としては、以下2点が挙げられます。
小さなへこみの場合、エンジンや先進安全技術に影響を及ぼしているとは考えにくいため、車の外見のみ整えるだけで済みます。その場合は、費用が比較的安いカー用品店やガソリンスタンドの方が、コスパ良く修理をしてもらえる可能性が高いです。
また、カー用品店はスタッフの人数も多く、修理サービスも幅広く用意しているため、作業時間も短時間で済むメリットがあります。
ガソリンスタンドでも傷の程度によっては即日修理できる場合もあるため、簡単な修理であればカー用品店やガソリンスタンドの方が利便性が高いと言えるでしょう。
交換が必要なへこみの修理ならディーラー・整備工場
パーツの交換が必要な場合や、先進安全技術に影響を及ぼしていると考えられる場合は、ディーラーや整備工場に修理を依頼するのがおすすめです。理由としては、以下2点が挙げられます。
- カー用品店やディーラーではパーツの交換に対応していない場合がある
- 車の事故などに直接関わってくる部位は、正規部品の方が安心できる
カー用品店やガソリンスタンドでは大規模な修理となるパーツ交換には対応していない場合が多いため、修理してもらえない可能性が高いです。
特にガソリンスタンドでは小さな傷やへこみにしか対応できない場合が多いため、ディーラーや修理工場の方が確実と言えます。
また、先進安全技術に該当する重要な部分は、事故のリスクに直接関わる箇所です。可能であればディーラーで特定整備制度に対応できるスタッフにしっかり調整してもらい、正規部品を使って修理してもらうのが一番安心できるでしょう。
予算に余裕がない場合は、修理工場ならディーラーよりも安く修理できる可能性が高いです。
車の傷やへこみを修理するなら「楽天Carキズ修理」
車のへこみに熱湯をかけて修理する方法がありますが、費用を抑えられるというメリットよりも、そのほかのデメリットが上回っていると言えます。車のへこみを熱湯で直すのが危険な理由は、下記の5つです。
へこみの修理はなるべく修理業者に依頼して、プロに修理してもらいましょう。特に先進安全技術自動車の場合は、修理後にシステムが正常に作動するかチェック・調整する必要があるため、必ずプロの目を通すようにしましょう。
ただ、自分でへこみの範囲や、塗装の剥がれ具合を見て修理業者を選ぶのは難しいものです。不要な高額修理費用を払わないためにも、修理業者の比較サイトを使うという方法も便利です。
『楽天Carキズ修理』は、簡単な車の傷やへこみを修理してくれる業者を比較・予約できるポータルサイトです。
お近くの修理業者を一括で探せる上に、修理箇所の写真を送信するだけで修理費用の目安がかんたんにわかるキズ画像診断機能もありますので、家から出ずに見積もり業者を決められます。
楽天ポイントも貯まるので、修理で貯まったポイントでオトクに他の買い物ができるのもうれしい点です。
車の傷やへこみを直したい方は、『楽天Carキズ修理』でお近くの業者を比べてみてくださいね。
参考サイト
コスモ石油販売|愛車にへこみができちゃった!板金費用の相場はどれくらい?(参照日:2022-06-27)
https://cos.cosmo-oil.co.jp/blog-detail/1/1000000279/
株式会社フカサワ|樹脂(プラスチック)材料の特性~金属との使い分けを知ろう! (参照日:2022-06-27)
https://www.fukasawa.co.jp/column/1957/
Mitsuri|【金属とは?】専門家が金属の性質・特性について詳しく解説!(参照日:2022-06-27)
https://mitsu-ri.net/articles/about-metal
一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会|先進安全自動車の特定整備(点検・整備作業)の対応について(参照日:2022-06-27)
https://www.jucda.or.jp/info/tokutei-seibi/
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