2021-10-14
アライメント調整とは?頻度や料金・DIY方法について解説
「アライメント調整とはどんな整備?」と考えていませんか?何のためにするのかもわからないという人も多いかと思いますが、実は車の走行性に関する重要なメンテナンスです。アライメント調整について知り、必要に応じて実施しましょう。
アライメント調整とはどんな整備のことかご存知ですか?タイヤ交換などのメンテナンスで業者を訪れたときに勧められることも多いですが、「実はどんな整備で、何のために実施しているのかよくわかっていない」という人も多いでしょう。アライメント調整は、本来車が持っている安定性や操作性を取り戻すための整備であり、快適に車を使用するためにとても重要です。
そこで本記事では、車のアライメント調整について詳しく解説します。調整するタイミングや費用から、自分で調整する方法までご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
アライメントとは?
画像出典:photo AC
アライメントは「ホイールアライメント」とも呼び、車体に対するホイールの取り付け角度のことです。そして、アライメントが適正な角度からずれているときに調整する整備をアライメント調整と呼びます。
アライメントの主な要素は次の3つです。
では、この3つの要素を詳しく見ていきましょう。
キャンバー角
キャンバー角とは、車を正面から見たときのタイヤと地面の角度のことです。
正面から見て、タイヤが垂直に地面に接している状態ならキャンバー角が0度ということになります。それに対し、タイヤの上部が内側に入っている(正面から見たときに左右のタイヤがハの字のように見える)のが「ネガティブキャンバー」、タイヤの上部が外側に向いている(正面から見たときに左右のタイヤが上下逆さまのハの字に見える)のが「ポジティブキャンバー」と呼ばれる状態です。
一般的な車では、多くの場合0度もしくはややネガティブキャンバーに設定されています。
トー角
トー角とは、車を上から見下ろしたときのタイヤ先端の向きのことです。
真上から見たときにタイヤの前側が内に向いている状態(人間の足でいう内股)を「トーイン」と呼び、タイヤの前側が外に向いている状態(人間の足でいうがに股)を「トーアウト」と呼びます。
トー角は、一般的に0度もしくはややトーインに設定されていることが多いです。
キャスター角
タイヤが回転するときの中心軸として、キングピンと呼ばれるパーツがあります。キャスター角とは、このキングピンの傾き加減のことです。
車を横から見たときにキングピンが垂直になっている状態をゼロとして、後ろに傾いているとプラス、前に傾いているとマイナスと考えます。基本的に、国産の車は全てキングピンが後ろに傾いているプラスの状態です。
アライメント調整はなぜ必要なのか?
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アライメント調整の最も重要な目的は、走行性能を調整することです。
アライメントが本来設定されていた適切な値から大きく崩れると、ハンドルが取られてしまって操作しにくくなるなどの症状が現れます。例えば、キャンバー角の狂いが大きく影響をするのは、旋回時の走行性です。キャンバー角が適正値からずれてくると、左右に曲がるときに車が思った通りの動きをしないなどの問題が起きてしまいます。
こういった症状が現れると、運転しにくくなることはもちろん、そのまま放置して症状が重度になると思わぬ事故に繋がる可能性もあるでしょう。そこで、アライメント調整をして適正なタイヤの取り付け状態に戻すことで、その車が本来持っている走行性能を取り戻すことができるのです。
また、サーキットで走る車や、「コーナリングの限界性能を上げたい」など特定の走行性能にこだわる場合にも、希望する状態にアライメント調整を行って特定の走行性能を引き出すことがあります。
アライメント調整はいつやるべき?
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アライメント調整は、アライメントが狂ったときに実施すべきです。次のような症状を感じたら調整を検討しましょう。
- ハンドルがとられてしまう
- タイヤが真っ直ぐな状態でハンドルが左右どちらかにずれている
- 走行中左右に車が流れやすい
- 思い通りに曲がれない
- タイヤの片側だけ摩耗が早い
これらの症状は、経年的に現れることもありますが、縁石などへの接触で車が大きな衝撃を受けたときにも起こりやすいです。車に衝撃がかかるようなことがあれば、しばらくはハンドル操作などに不具合が生じていないか、いつも以上に気を付けてチェックすると良いでしょう。
さらに、アライメントは足回りの部品を交換したときにも狂いやすいです。足回りの部品を交換する際は、セットで調整を行うことをおすすめします。
DIYで調整する方法
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ここでは、アライメント調整を自分で行う方法を見ていきましょう。
ただし、アライメント調整には、ホイールアライメントに関することだけでなく、車の整備に関する十分な知識や技術が求められます。決して車の整備初心者でも簡単にできる作業というわけではないので、不安がある人はプロに任せるようにしてください。
普段から車の整備を行っている人も、実際に作業を行う際は、1つずつ手順を確かめて慎重に作業を行うようにしましょう。
ここでご紹介するのは、業者に置いてあるような大型のテスター(アライメントを測定する機械)を使わず、簡易的に測定および調整する方法です。先ほどご紹介したアライメントの構成要素の内、キャンバー角とトー角の調整方法を解説します。
必要な道具と手順
キャンバー角とトー角の調整をするために必要な道具は次の通りです。
キャンバー角の測定・調整
- 水準器
- マグネットキャンバーゲージ
- ジャッキ
- ウマ(リジットラック)
- 六角レンチ
トー角の測定・調整
これらの工具以外に、手を傷つけないための軍手なども用意しておくと良いでしょう。
道具の準備ができたら、車を水平で十分な広さがある場所に停めてください。次に、タイヤの空気圧を測定し、4輪すべて同じ空気圧になるよう調整しておきましょう。
キャンバー角の調整方法
準備ができたら、まずはキャンバー角の調整を行います。キャンバー角を調整するとトー角が狂いやすいため、トー角より先にキャンバー角の調整を行ってください。
ここでは、キャンバー角の左右差をゼロにするだけの簡易な調整と、キャンバー角を専門の道具で測定し、希望のキャンバー角に合わせる調整の2通りを紹介します。実施する調整によって次の測定方法でキャンバー角を確認しましょう。
- より簡易に左右差だけを揃える場合
水準器を使って左右のキャンバー角を比較する
→角度の差を見て左右差がゼロになるよう調整
- キャンバー角を測定して既定の数値に合わせる場合
マグネットキャンバーゲージで角度を測定する
→数値を確認して希望するキャンバー角の値に調整
マグネットキャンバーゲージとは、マグネットの部分をくっつけることでキャンバー角を測定できる器具です。
出典:楽天市場
自分で作業をするときでもできるだけ正確に測定したいという人におすすめです。
キャンバー角の確認ができたら、実際にキャンバー角を調整していきます。
ただし、多くの車に搭載されているストラット式という方式のサスペンションの場合、そのままでキャンバー角の調整をすることはできません。自分でキャンバー角を調整するには、アッパーマウントと呼ばれるパーツを調整式のものに交換しておき、その調整式アッパーマウントを使って調整する方法が一般的に使われています。
アッパーマウントとは、車輪を支えたり衝撃を吸収したりする役割を担っているサスペンションと呼ばれるパーツを、車体に固定するための部品です。調整式のアッパーマウント(左)と非調整式のアッパーマウント(右)を見比べてみてください。
調整式のアッパーマウントには、中央の穴の左右にネジが2本ずつ付いているのがわかるかと思います。このネジを緩めてアッパーマウントを調整することでキャンバー角を変えられるという仕組みです。
純正のアッパーマウントでは、右のように調整ができないタイプのことが多いので、全ての車に有効な方法ではないということを頭に入れておきましょう。
アッパーマウントでのキャンバー角の調整は次の手順で行います。
- 車をジャッキアップする
- 車体をウマ(リジットラック)で支える
- ボルトを緩めてアッパーマウントをスライドさせる
キャンバー角の調整を行うときはジャッキアップをして作業をします。しかし、ジャッキで持ち上げたままだと作業中にジャッキが倒れて事故になる可能性があるため、ウマ(リジットラック)と呼ばれる支えを使ってしっかり車を支えましょう。
トー角の調整方法
続いて、トー角の調整を行います。ここで紹介するのは、本格的にトー角の角度を測定する方法ではなく、メジャーで左右のタイヤの距離を測り、その差を見ることでトーインになっているかトーアウトになっているかを確認する方法です。
メジャーを用意し、左のタイヤの溝から右のタイヤの溝までの距離を測ります。この測定はタイヤの前側と後ろ側の2回行いましょう。ここで確認した距離の差によって、次のどちらの状態になっているか判断します。
- 前側の方が短い…トーイン
- 後ろ側の方が短い…トーアウト
現在の状態を確認したら、希望するトー角に調整していきます。一般的な街乗り用の車であれば、トー角は0度(前後同じ距離)もしくはややトーインに設定することが多いです。
では、実際にトー角を調整する手順を見ていきましょう。
トー角の調整は、タイロッドというパーツを回して行います。タイロッドとは、ハンドルの操作をタイヤに伝達する棒状のパーツです。
出典:楽天市場
タイロッドに付いているネジを回すとタイロッドの長さが変わり、これによってトー角を調整することができます。
ここでは、キャンバー角の調整を行った後、車がジャッキアップしてあるところからスタートすることを想定していますので、前述したキャンバー角の調整方法からご確認ください。
- タイロッドのナットを緩める
- ジャッキを降ろしてタイヤを接地させる
- タイロッドを回してトー角を調整する
タイロッドを伸ばす→トーインになる
タイロッドを短くする→トーアウトになる
(タイロッドがタイヤの前側に付いている場合は逆に回す)
タイロッドは基本的にミリ単位で動かします。一気に大きく動かすのではなく、少しずつ回していくようにしましょう。
注意点
自分で作業を行う場合、測定前の準備が非常に重要です。水平な場所に車を停め、タイヤの空気圧を4輪とも一定にしておかないと、車が傾いてしまって正確に測定することができなくなってしまいます。そのまま調整作業をしてしまうと、調整したつもりがかえってアライメントを狂わせてしまうことにもなりかねないため、十分注意するようにしてください。
また、前述の通り、アライメント調整は専門性が求められる作業であり、整備に慣れていない人にとってはハードルが高いものです。よくわからないまま作業を進めてしまうと、間違った調整で走行性能に悪影響を与えてしまうこともあるので、少しでも不安がある場合は業者に依頼するようにしましょう。
アライメント調整の費用
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アライメント調整をプロにお任せしたい場合、次のようなところで依頼することができます。
タイヤ交換などの簡単な整備であればガソリンスタンドで行っているという人も多いかと思いますが、ガソリンスタンドにはアライメントを測定するための機械が置いてないことが多く、作業を受け付けていないことが多いです。また、上記に挙げたカー用品店やタイヤ専門店などでも店舗の規模によってはアライメント調整ができないこともあるので、事前に確認するようにしてください。
業者で調整を依頼するときの料金の目安は次の通りです。
アライメント調整料金の相場
測定料金 |
6,000~15,000円 |
調整料金(1箇所あたり) |
2,000~5,000円 |
測定と調整で別料金としているところが多いですが、最近は測定と一通りの調整を合わせて15,000~30,000円程度のセット料金としているところもありますので、事前に問い合わせておきましょう。
業者で依頼する場合、測定から調整までの作業で1~3時間かかります。長時間の作業になることから飛び込みでの依頼は受け付けておらず、事前に予約が必要なことが多いです。アライメント調整を依頼するときは、余裕を持って予約するようにしてください。
タイヤを購入するなら楽天Carタイヤ交換がおすすめ
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この記事では、アライメント調整について解説しました。アライメントが大きく狂っていると、ハンドルが取られてしまって安定した走行ができなかったり、タイヤの片側だけ摩耗が進んでタイヤの寿命を縮めてしまったりと多くのデメリットがあります。車を使用していて気になる症状が現れたら適切な調整を実施しましょう。
しかし、ハンドルが取られたりタイヤが偏摩耗したりといった症状は、必ずしもアライメントが原因であるとは限りません。例えば、タイヤの空気圧が不足していたり、タイヤの寿命が近づいていたりするような場合にも、何らかの症状が現れるケースが多いです。
そこで、アライメント調整だけでなく、定期的にタイヤの点検を行い、必要に応じてタイヤの交換や空気の充填などのメンテナンスを行ってください。タイヤは車の中でも唯一地面に触れるパーツであり、安全性や安定性に大きく関わっているからこそ、日頃から適切なメンテナンスを心がけるようにしましょう。
特に、タイヤに亀裂が入っていたり、過度にすり減っていたりすると重大な事故に繋がる可能性もあるため、タイヤ交換は車にとって非常に重要な整備です。しかし、「タイヤ交換はお金もかかるし面倒くさい」と感じている人は多いのではないでしょうか?
そこで、手軽かつコストを抑えてタイヤ交換をしたいなら、「楽天Carタイヤ交換」をおすすめします。楽天Carタイヤ交換は、楽天市場でタイヤを購入し、お近くの実店舗で交換を依頼できるサービスです。
そもそも、インターネットでは実店舗よりも安くタイヤが販売されており、数万円単位で安く購入できることも少なくありません。しかし、自分でタイヤ交換ができない人の中には「お金はかかるけど、街のお店で購入してその場で交換してもらうのが安心だろう」と考えている人も多いでしょう。
楽天Carタイヤ交換なら、楽天市場で購入したタイヤがタイヤ交換を行う店舗まで直送され、プロの手で交換してもらえるので、自分でタイヤ交換ができない人や、自分で店舗までタイヤを運搬できない人でも安心して利用できます。さらに、購入金額に応じた楽天ポイントの進呈もあるのでよりお得です。
ぜひ一度、楽天Carタイヤ交換をチェックして、お近くの店舗を探してみてくださいね。
楽天Carタイヤ交換
参考サイト
ホイールアライメントとは|タイヤのトーイン・トーアウト・キャスター・キャンバーって何?(参照日:2021-09-16)
https://car-moby.jp/article/car-life/automobile-inspection-maintenance/tire-alignment/
トー角の調整をDIYで行う方法╱「タイロッドの回し方」編(参照日:2021-09-16)
https://www.diylabo.jp/column/column-499-4.html
トー調整はメジャーで出来る?気になるやり方を解説します(参照日:2021-09-16)
https://www.send-freedom.com/entry/2019/12/16/100208
車高調のアッパーマウントでキャンバー角を調整する方法(参照日:2021-09-16)
https://www.diylabo.jp/basic/basic-76.html
キャンバー角とは?ポジティブとネガティブの違いから調整方法まで(参照日:2021-09-16)
https://car-moby.jp/article/car-life/useful-information/camber-angle/
ホイールアライメント(参照日:2021-09-16)
http://www.alignment.biz/ito.htm
4輪アライメント調整(参照日:2021-09-16)
https://www.tireman.co.jp/ashimawari/adjustment/alignment/
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