2021-06-21
タイヤのスリップサインの正しい見方と長持ちさせる方法
タイヤのスリップサインが出ている状態で走行すると、事故につながる恐れもあるため非常に危険です。この記事を読んで、スリップサインの正しい見方や、タイヤを長持ちさせるコツを身につけていきましょう。
タイヤを交換する目安の一つに「スリップサイン」があります。
スリップサインは、タイヤの限界が来ていることを表すサイン。「これ以上の使用は事故につながる危険があるため、早く交換してください」と、ドライバーに警告しているのです。
そこでこの記事では、タイヤのスリップサインについて詳しくまとめました。
- スリップサインの正しい見方
- スリップサインが出ているタイヤの危険性
- タイヤの寿命を長持ちさせるコツ
これらをわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
スリップサインとは?正しい見方をマスターしよう
画像出典:Adobe Stock
スリップサインとは、タイヤの溝の深さが1.6ミリメートル以下になると現れるサインのことです。タイヤ側面にある三角マークの延長線上に位置する溝の底に、4~9ヵ所設置されています。
画像引用:ブリヂストン公式サイト
タイヤは走行するたびに摩擦を起こし、徐々に溝が減っていきます。すると、タイヤと路面の間に入り込んだ水がスムーズに排出できなくなり、滑りやすくなったり、ハンドルやブレーキが効かなくなったりと危険な状態に…。
そのため、スリップサインが出ているタイヤを使ってはいけないと法令で定められています。たとえ1ヵ所しか出ていなくても使用禁止のため注意が必要です。
画像引用:ダンロップタイヤ公式サイト
スリップサインの見方はとても簡単です。以下の手順に沿ってチェックしていきましょう。
- スリップサインの位置を確認
- スリップサインの有無を確認
まずは、タイヤ側面(サイドウォール)にある三角マークを探します。その延長線上に「スリップサイン」があります。1本のタイヤにスリップサインは4~9ヵ所あるので、見落としがないようにしっかりチェックしましょう。
続いて、スリップサインが出ているかどうかを確認します。上記画像(右側)のように溝が平らになっていたら、スリップサインが出ている状態です。
また、タイヤの片側だけがすり減る「偏摩耗」が起きている可能性もあるため、タイヤの内側と外側もチェックしてください。
ハンドルをめいっぱい切った状態にすることで、フロントタイヤの内側が見やすくなりますよ。
以上でスリップサインのチェックは完了です。定期的にタイヤの状態を確認し、安全に走行できるよう努めましょう。
スリップサインはタイヤの限界値!どんな危険があるの?
画像出典:Adobe Stock
先ほども少し触れましたが、スリップサインが出ているタイヤは走行機能が著しく低下しています。つまり「タイヤの限界」を迎えた状態です。
1本のタイヤにスリップサインは複数ありますが、そのうち1ヵ所でも出ていたらアウト!そのまま走行を続けるのは非常に危険です。
では、具体的にどのような危険があるのでしょうか。以下で詳しく説明します。
スリップしやすくなる
タイヤの溝には、路面にたまった雨水でタイヤが浮いてしまわないよう、タイヤと路面の間にある水を排出する役割があります。この排水力が働くおかげで、濡れた路面でも滑ることなく走行できるのです。
しかし、溝が浅くなったタイヤは水をうまく排出できず、タイヤが路面をつかむ力(グリップ性能)も落ちてしまうためスリップしやすくなります。
さらに高速運転をした場合、ハンドルやブレーキが効かなくなる「ハイドロプレーニング現象」が起こりやすくなります。
場合によっては大事故になる恐れもあるため、スリップサインが出ているタイヤで走行することは非常に危険であると認識しておいてください。
また、タイヤの排水性能やグリップ性能は、溝の深さが4ミリメートルになると低下すると言われています。
「スリップサインが出ていなければ安全に走行できる」は間違いです。日頃から溝の減り具合をチェックするよう心がけましょう。
車検が通らない
タイヤの溝の深さは、道路運送車両法の保安基準によって以下のように定められています。
”滑り止めの溝は、空気入ゴムタイヤの接地部の全幅にわたり滑り止めのために施されている凹部のいずれの部分においても1.6mm(二輪自動車及び側車付二輪自動車に備えるものにあっては、0.8mm)以上の深さを有すること。”
引用:国土交通省「道路運送車両に関する保安基準第89条 4の二」
スリップサインは1.6mmの溝に設定されています。
そのため、スリップサインが出たタイヤは整備不良とみなされて車検に通りません。1ヵ所でも出ていたら「不合格」になります。
車検の検査項目はタイヤだけではありませんが、タイヤの溝の深さが合否の判断基準の一つであることを覚えておきましょう。
交通違反の罰則対象になる
スリップサインが出ているタイヤで走行すると道路運送車両法違反となり、罰則の対象となります。罰則の内容は以下のとおりです。
|
交通違反の点数
|
罰金
|
普通車
|
2点
|
9,000円
|
大型車 |
2点
|
12,000円
|
「違反点数の加算や罰金の支払いを避けたい」と考えるのは当然かと思いますが、道路運送車両法は自動車交通の安全確保のために定められた法律です。
自分や周囲の人の安全を守るために、スリップサインの有無を確認してから車に乗るように心がけましょう。ただし、溝の深さ1.6ミリメートル以上というのは、あくまで一般道路を走行する場合の使用制限となります。
高速運転はタイヤの摩擦抵抗が大きくなるため、高速道路を走行する際は以下の使用制限を守らなければいけません。
|
一般道路
|
高速道路
|
乗用車
|
1.6ミリメートル以上
|
1.6ミリメートル以上
|
小型トラック |
1.6ミリメートル以上
|
2.4ミリメートル以上
|
大型トラック・バス |
1.6ミリメートル以上
|
3.2ミリメートル以上
|
乗用車の使用制限は変わりませんが、小型トラックは2.4ミリメートル以上、大型トラック・バスは3.2ミリメートル以上の溝の深さが必要です。
車に乗る前、特に高速道路を走行する際は、タイヤの溝の残りをしっかり確認するように注意してください。
スタッドレスタイヤはノーマルタイヤよりも寿命が短い
画像出典:Adobe Stock
スタッドレスタイヤは、ノーマルタイヤよりも早く寿命を迎えます。その大きな要因となるのが「タイヤの柔らかさ」です。
スタッドレスタイヤは凍結してデコボコした路面でもしっかり密着するよう、ノーマルタイヤよりもオイルが多く含まれた柔らかいゴム素材で作られています。
柔軟性があるスタッドレスタイヤは路面との接触面積が大きくなり、摩擦力が増加するため、ノーマルタイヤよりも溝の減りが早くなるのです。
また、ノーマルタイヤと違って溝の深さが残り50%になったら使用できません。タイヤ表面にある「プラットフォーム」にて、残りの溝の深さをチェックしましょう。
プラットフォームは、タイヤ側面に表示された矢印の延長線上に位置します。下記の画像のように、プラットフォームが見えている場合はタイヤ交換が必要です。
画像引用:ブリジストン公式サイト
また、ゴム素材に含まれているオイルは年月の経過とともに流れ出てしまい、タイヤが硬くなってグリップ性能が低下します。
使用状況によって異なるため一概には言えませんが、毎シーズン使用している場合、購入から3~4年ほどで寿命を迎えることが多いとされています。
プラットフォームが出ていなくてもタイヤが硬化している場合もあるため、スタッドレスに履き替える際は十分に注意しましょう。
タイヤの寿命を長くするためのコツ
画像出典:Adobe Stock
タイヤは使用すればするほど劣化が進み、やがて寿命を迎えます。しかし、使用方法やメンテナンス方法を気をつけることで、タイヤの寿命を長くすることも可能です。
この章では、タイヤの寿命を長くするためのコツを4つ紹介します。
- タイヤのローテーションを行う
- 適正な空気圧を保つ
- お手入れ方法や保管方法に気をつける
- タイヤに負担をかけない運転をする
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
タイヤのローテーションを行う
タイヤの寿命を長くするためのコツ1つめは、タイヤのローテーションを行うことです。
タイヤのローテーションを定期的に行うことで、タイヤにかかる摩擦を均一化して寿命を長く保つことにつながります。
FF車(前輪駆動の車)とFR車(後輪駆動の車)ではローテーション方法が異なるため、注意が必要です。
FF車
|
前輪は、そのまま後輪へローテーションする
後輪は、左右を入れ替えてから前輪へローテーションする
|
FR車 |
後輪は、そのまま前輪へローテーションする
前輪は、左右を入れ替えてから後輪へローテーションする
|
また、回転方向が指定されているタイヤの場合は、駆動方式に関わらず前輪と後輪をそのまま入れ替えてください。
4本すべてのタイヤの減り方が同じくらいになるよう、走行距離5,000~10,000kmに一度はタイヤのローテーションを行いましょう。
【関連】タイヤローテーションとは?やり方や費用について解説
適正な空気圧を保つ
タイヤの寿命を長くするためのコツ2つめは、適正な空気圧を保つことです。
空気圧が不足しているタイヤは走行時に大きく変形するため、摩擦が起こりやすくなります。当然、タイヤの溝が減るスピードも早くなるため注意が必要です。
タイヤの空気は、時間の経過とともに抜けてしまいます。月に1度は空気圧をチェックして、足りなければメーカー指定の空気圧に従って補充しましょう。
また、適正な空気圧を保つことで、燃費の悪化や走行性能の低下を防ぐことにもつながります。
お手入れ方法や保管方法に気をつける
タイヤの寿命を長くするためのコツ3つめは、お手入れ方法や保管方法に気をつけることです。
具体的に注意すべき項目は以下の通りです。
- タイヤの油分が抜けることを防ぐため、タイヤを洗う際は洗剤ではなく水で汚れを落とす。
- タイヤワックスを使う場合は「水性タイプ」を使用する。
- タイヤの劣化要因である紫外線や酸性雨の影響を減らすため、屋根のある場所に駐車する。
- 駐車場に屋根が付いていない場合は、ボディカバーやタイヤカバーを活用することで劣化を防ぐ。
- タイヤのみを保管する場合は屋根のある場所またはカバーをかぶせて保管する。
これらのことを気を付けることによって、タイヤの劣化を遅らせることができます。
タイヤに負担をかけない運転をする
タイヤの寿命を長くするためのコツ4つめは、タイヤに負担をかけない運転をすることです。
急発進や急停車、高速運転を繰り返すことでタイヤに余計な負担がかかり、溝が減りやすくなります。なるべく摩擦を減らすためにも、できるだけ丁寧な運転を心がけましょう。
また、荷物を減らして車を軽くすることもポイントです。車が重くなるほどタイヤに負担がかかかるため、余分な荷物を積まないようにしてタイヤの寿命を守りましょう。
スリップサインが出たタイヤだけを交換すればいい?
画像出典:Adobe Stock
スリップサインが出ているタイヤは早急に交換が必要ですが、該当するタイヤだけを交換すればよいというわけではありません。
1本だけタイヤ交換した場合、他3本のタイヤにかかる負担が大きくなります。そのため、本来の性能が十分に発揮されなかったり、燃費が悪くなったりと、マイナスな事態しか招きません。
スリップサインが出ていないタイヤがあったとしても、4本すべてのタイヤを同時に交換することをおすすめします。
また、タイヤ交換が必要となるのは、スリップサインが出た時だけではありません。以下のような状態になった時もタイヤ交換は必要です。
- タイヤの製造年から4~5年経過している
- タイヤに亀裂やひびが入っている
- タイヤの片側だけが摩擦している
タイヤは、車の安全な走行のために欠かせないパーツです。日頃から異変がないかチェックし、適切なタイミングでタイヤ交換を行いましょう。
お得に楽にタイヤ交換したいなら楽天Carタイヤ交換!
画像出典:Adobe Stock
本記事では、タイヤのスリップサインについて解説しました。スリップサインが出ているタイヤは危険なだけではなく、道路運送車両法違反にも該当します。早急にタイヤ交換をしてください。
スリップサインが出ていなくても、「滑りやすい」「ブレーキの効きが悪い」と感じる場合はタイヤの溝が減っている証です。安全な走行のためにも、早めにタイヤ交換を行いましょう。
とはいえ、タイヤ交換はお金も手間もかかります。「なるべく安くタイヤ交換をしたい」「手間をかけずにタイヤ交換をしたい」と考える人もたくさんいるでしょう。
そのような人におすすめなのが「楽天Carタイヤ交換」です。
「楽天Carタイヤ交換」とは、楽天市場でのタイヤ購入と取付店舗への予約が同時に行えるインターネットサービスのことです。
実店舗よりも安い価格でタイヤを購入できるだけではなく、工賃の安い取付店舗を簡単に探すことができ、タイヤ交換にかかる費用を抑えることができます。
また、購入したタイヤは取付店舗に直送してくれるため、自分でタイヤを運ぶ手間がかかりません。
さらに購入金額に応じて楽天ポイントが貯まるので、お得にタイヤ交換をしたい人にぴったりのサービスです。
タイヤ交換を検討している人は、ぜひ一度「楽天Carタイヤ交換」をチェックしてみてください。
楽天Carタイヤ交換
参考サイト
タイヤのスリップサインの見方を写真でチェック!車検不合格の限界は溝何ミリ?(参照日:2021-5-23)
https://www.55truck.com/journal/39.html
タイヤの溝深さについて(参照日:2021-5-23)
https://tire.bridgestone.co.jp/about/maintenance/groove-depth/index.html
タイヤ交換時期の判断基準!プロが教える目安や寿命(参照日:2021-5-23)
https://www.jms-car.com/ask/tire_koukan/
タイヤのスリップサイン(タイヤのひびわれ・溝)(参照日:2021-5-23)
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-tire-slip-sign/
タイヤのスリップサインの見方と確認方法!溝がないと罰金も【冬・春前にチェック】(参照日:2021-5-23)
https://car-moby.jp/article/car-life/automobile-inspection-maintenance/tire-slip-sign-confirmation-method/
タイヤの交換時期はどう判断する?目安や寿命は(参照日:2021-5-23)
https://johndayautomotivelectronics.com/3701/
スタッドレスタイヤの寿命は?見分け方や長持ちする保管方法も解説(参照日:2021-5-23)
https://www.goo-net.com/pit/magazine/111929.html
スタッドレスタイヤの寿命はどれくらいなのか(参照日:2021-5-23)
https://car-me.jp/articles/11888
楽天Carマガジンは、楽天Carが運営するウェブマガジンです。クルマの維持費をお得にする様々なコンテンツをお届けします!
この記事をシェアする!
あなたにおすすめの記事